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前回まで2回にわたって、Webアクセシビリティの基本ともいわれるalt属性について述べてきた。alt属性によって代替情報が指定できることは、Webならではの特徴である。
では、何故alt属性は基本とされるのだろうか? 紙媒体の場合、画像などの情報を視覚以外の方法で得ることは難しい。しかし、Webでは代替情報が用意できるおかげで視覚以外の方法でも情報にアクセスすることが可能になる。ということは代替情報がなければその情報にアクセスできない環境がある、ということだ。alt属性の提供がアクセシビリティの基本とされるのはこのような理由による。

一般にWebは紙媒体と比べてアクセシブルであると言われる。しかしながら、情報提供者側がその特性を理解していないために、Web本来の力を生かしきれていないということが多いのが現状だ。そこで、今回はWebを理解する為のキーポイントとなる紙媒体とWebの違いについて、考えてみたい。

紙、Web双方のメリット

ひとくちにメリットといっても非常に多岐に渡ってしまうので、本連載の趣旨に則り、アクセシビリティの観点から両者の特徴を比較してみることにする。

紙媒体のメリット

紙媒体のアクセシビリティ面でのメリットとしては、情報を入手する際に特別な装置が必要ない、という点が挙げられる。この点では、現時点においていわゆるデジタル・ディバイドが存在するWebと比較してアクセシブルであると言える。無論、視覚に依存する(もしくは点字印刷であれば、視覚または触覚に依存する)という大きな問題点はあるものの、基本的には情報受信者側のコストの負担が少ないということはメリットであるといえるだろう。

また、基本的には常に同一の見た目を提供できるという点も、紙媒体のメリットではあるが、これも視覚に依存していることが前提であることを忘れてはならない。

Webのメリット

一方、Webの場合はどうであろうか? まず、既に述べているように、alt属性をはじめとする代替情報を提供できる、というのは大きなメリットだ。これによって、画像や音声など特定の感覚に依存するコンテンツを他の手段で理解可能な情報に置き換えて受信することが可能になる。

画像などの視覚的な情報にテキストによる代替情報を付加する事で、非視覚的な環境でも内容が理解できるようになる点に加え、検索エンジンなどのプログラムでもデータを利用しやすくなるというのも大きい。音声や動画などでも同様のことが言えるだろう。

さまざまな方法で情報を受信できる、ということもアクセシビリティの観点からは大きなポイントである。多くの人がこの記事を読むのに使用していると思われる、「デスクトップPCとディスプレイとWebブラウザ」という組み合わせはもちろんのこと、音声ブラウザをはじめとする支援技術、いわゆるインターネット対応のTV、家庭用ゲーム機、PDAや携帯電話、もしくはPCを利用する場合でも、RSSリーダーや紙媒体への印刷など、既に非常に多岐に渡る方法があり、今後はさらに多くの利用法が考えられていくものと考えられる。

Webのメリットを活かす為に

では、上記のようなWebにおけるメリットを最大限活用する為にはどのような点に注意してサイトを作成すべきなのであろうか?

適切な代替情報を提供する

なんといっても必要に応じて内容にふさわしい代替情報を提供することである。これにより、情報の受信が特定の条件に依存しにくくなる。ただし、現状では受信側の技術も改善の余地はまだまだある。今後は発信側、受信側ともにWebのポテンシャルをもっと引き出していく必要があるだろう。

文書の構造と表現を分離する

構造と表現の分離するという以前に、まずしっかりとした文書構造を持つことが非常に重要だ。前述のとおり、Webサイトにアクセスする方法は非常に多岐に渡っている。例えば大型のディスプレイと携帯電話では、表示領域に明らかな違いがあるとこは想像しやすいだろう。それぞれの画面表示(もしくは音声出力、点字出力など)に適応できるようにするには、さまざまな出力形式にあわせられるような文書構造になっていることが前提なのだ。つまり文書構造は自己完結した状態でも内容が理解可能なものに、表現は出力先にあわせて適用できるように、両者は別々であるべき、ということになる。

以上のように、今回は紙媒体とWebを比較しながら、アクセシビリティにおけるWebのメリットを中心に概論的な説明をさせていただいた。次回はもう少し具体的な例を取り上げて、アクセシブルなサイトとそうでないサイトの違いを考えてみたい。