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日経Linux 編集長
田島 篤

 ITProそして日経Linuxの読者の皆様,遅くなりましたが明けましておめでとうございます。2006年を振り返りながら,今年のLinux/オープンソース(OSS)関連の展望を述べたいと思います。

企業システムの構成要素として十分に認知された2006年

 年初ということもあり,大局的なことから入りましょう。2006年はLinux/OSSが企業システムの構成要素として十分に認知された年,そして今年はその動きが加速する年になるのはないでしょうか。

 大規模システムへの対応や安定性の強化など,Linux/OSSの機能・性能が強化されるにつれて,従来のようにインターネット系や小規模なサーバー・システムだけでなく,よりクリティカルな企業システムでも使えるプラットフォームとして,Linux/OSSは認められました。象徴的なのは,東京証券取引所が2009年に稼働予定の次世代売買システムのOSにLinuxを採用したことです(関連記事)。『公共性の高いインフラの根幹として,高速性と信頼性を確保できること』が求められるシステムに,Linuxが採用されたわけです。

 思い起こせば,2~3年前までは,Linux/OSSのエコシステム(生態系)はどうしたら成立するのか,という議論が盛んでした。1個人が開発を始めたLinuxを主なプラットフォームとするLinux/OSSは,議論が始まった以前には,インターネット系や小規模なサーバー・システムという限られた用途でのみ使われていました。

 このLinux/OSSの限られた用途を“小島”にたとえると,エコシステムを確立する過程で大手コンピュータ・ベンダーの積極的な参加を促したことにより小島が大きくなると同時に,周辺が地殻変動を起こし,企業システムという“大陸”とくっついたのが,2006年だったのではないでしょうか。地殻変動はもちろん,インターネットの発展,特に最近ではネット経由で比較的簡単に使えるサービスの興隆を指します。このWeb2.0やSaaS(Software as a Service)を実現する要素としてLinux/OSSは不可欠です。

本格普及期を迎えた2007年はサービスが焦点に

 企業システムという大陸に組み込まれたLinux/OSSに求められるものは何でしょうか。それは,高品質で価格競争力のあるサポート・サービスです。Linux/OSSに対する,運用・保守を含めたサポート・サービスの充実度が,2007年にLinux/OSSの本格普及が加速するか,あるいは失速するかを決める大きな要因になるでしょう。

 日経Linuxで開催したセミナーなどを通じて,特に昨年後半から実感したのが,以下のような企業ユーザーの問いでした。「Linux/OSSに企業システムで使えるだけの機能・性能があることは分かった。それなら今度は,Linux/OSSを安心して導入・運用できるだけの体制を整えられるのか」。企業システムでは新参者のLinux/OSSがより広く受け入れられるには,こうした要望に応えられるだけのサポート・サービスが不可欠でしょう。

 従来Linux/OSSが活用されていた事例では,Linux/OSSのエキスパートが中心となってシステムを構築・運用している場合が目立ちました。2007年以降は,一般的なITプロフェッショナルがLinux/OSSシステムを構築・運用できる体制の整備が期待されます。逆に言えば,この体制が整わないと,企業システムでの本格普及は望めません。

 もちろん,ITベンダー側もこうした流れをとらえて,さまざまな準備を進めているようです。昨年末に表面化したのが,米Oracleによる「Red Hat Enterprise Linux」の保守事業参入(関連記事)や,相互運用性強化などを狙った米Microsoftと米Novellの提携(関連記事)などです。この傾向は2007年も続き,Linux/OSSの本格普及を支えるのではないでしょうか。