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 総務省は2007年度末までに、地域の実態に合った子供や高齢者の安全確保システムを開発する計画だ。無線ICタグや各種センサーなどのユビキタスネットワーク技術を活用し、地方自治体や学校、地域住民などの要望に対応しやすい複数の基本システムを開発し、2010年度の実用化を目指す。実用化の際には地域のニーズに応じて、その中から必要なシステムを選べるようにする考えである。基本システムの開発に当たっては地域参加型の実証実験を行い、子供や高齢者などのプライバシを守るためのガイドライン(運用指針)も作成する計画だ。

 今回の計画は、総務省の「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」(座長:齊藤忠夫・東京大学名誉教授)が2006年7月10日に公表した中間報告書の提言を受けたものである。同研究会は中間報告書の中で、「災害対策・危機管理」と「食の安心・安全」、「児童・高齢者などの市民生活の支援」という三つの分野において、情報通信技術(ICT)を活用して目指すべき将来の姿や、その姿を実現するための今後の対応策などを提言した。また、三つの分野について、ICタグシステムなどのユビキタスネットワーク技術の積極的な活用を求めた。

地域住民などが参加する実証実験を計画

 このうち「児童・高齢者などの市民生活の支援」においては将来像として、「子供や高齢者がどこにいても、街中に設置された見守りボックス(ICタグのリーダーや監視カメラなどを一体化したもの)で、常に居場所を把握できるようになる」とした。また、ICタグや生体認証技術を組み合わせた学校や各種施設への入退室管理が実現するほか、各種センサー機能を搭載したICタグを使用することで、遠隔地に住んでいる高齢者の健康状態などの見守りが可能になるとした(表1)

表1 総務省の研究会がまとめた「市民生活の支援」に関する将来像
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 子供や高齢者の安全を確保するには、学校やPTA、地域住民、地元の地方自治体などの連携が重要になる。そのうえで、ユビキタスネットワーク技術を効果的に使えば、地域の実態に合った経済的で有効な安全確保対策が可能になると期待されている。そこで、総務省はいくつかのモデル地域を選び、地域住民などが参加する実証実験を行う計画である。実験は小中学校や幼稚園を所管する文部科学省や保育園を所管する厚生労働省のほか、警察庁などの関係省庁とも連携して行う予定である。「こうした実証実験を通じて、いくつかの基本システムを2007年度末までに開発し、その中から地域のニーズに応じて、必要なシステムを選べるようにする」(総務省技術政策課研究推進室長の竹内芳明氏)という。

 さらに総務省の研究会は今回の中間報告書で、子供や高齢者の安全を確保するシステムを実用化するためには、「プライバシ保護のためのガイドラインが必要」とした。具体的には、監視カメラで撮影された見守り対象の子供や高齢者だけでなく、カメラで撮影した映像の背後に写り込んだ第三者のプライバシも問題になる。そこで総務省は地域参加型の実証実験を通じて、設備の設置基準や運用基準などを盛り込んだプライバシ保護のガイドラインを作成する計画である。



本記事は日経RFIDテクノロジ2006年9月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。