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 「業務プロセスを改善する上では、プロセスを簡素化したり、それにかかわる社員のスキルを上げることが必要だが、それ以上に重要なのは、意思決定のやり方を見直すこと」---。米国の大手コンサルティング会社モニター・グループが北米の上場企業を対象に行った調査でこんな結果が浮き彫りになった。

 米ハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・ポーター氏が創業者に名を連ねる同社は、企業の戦略立案とその実践をサポートしてきた。「戦略を作っても実践できないというケースでは、組織や人材がボトルネックとなっている場合が多い。そこで、具体的に何が問題で、どう変えるべきなのかを具体的に把握する手法として『オーガニゼーション・スキャン』を開発した」。日本法人でバイスプレジデントを務める西谷洋介氏はこう話す。

 「オーガニゼーション・スキャン」とは、企業の社員に、自分の会社の組織構造や意思決定プロセス、部門間のインターフェースなどについて質問する中から組織の強みや問題点を抽出していく手法。モニター・グループでは、クライアント企業に対して同調査を実施することで、その組織の現状を客観的に把握する。さらに各企業の業界や世間一般でのレベルを判断するためのベンチマークとして、2006年春に北米(米国とカナダ)の上場企業で意思決定に携わる社員76人を対象にオーガニゼーション・スキャンを実施した。

 このベンチマーク調査で、「プロセスの効率向上に必要な要素」として最も多く挙げられたのは「意思決定に役立つ十分な情報へのアクセス」、次いで「決定事項とその論拠に関するコミュニケーションの改善」となった。組織の意思決定に関する要因が、「プロセスの簡素化」「プロセスに関与するスタッフのスキルや能力の向上」などプロセスそのものの改変より重要と見られていることが明らかとなった(図1)。「2番目の項目は『組織内で何がどう決まったかをきちんと周知する』という極めて基本的なことだが、これを徹底するだけでもプロセスの効率向上に寄与するという見方が多かった。裏を返せば、それすら徹底できていない企業も少なくないということ」と西谷氏は指摘する。

 ベンチマーキングでは、回答者が所属する企業を株価上昇率などから「好業績企業(ハイパフォーマー)」と「その他の企業(ローパフォーマー)」に分類し、ハイパフォーマーとローパフォーマーの差についても分析している。(図2)。自分が属する組織への評価で、ハイパフォーマンスの企業群とローパフォーマンスの企業群で最も大きな差が出たのは「企業風土」に対する評価だ。「企業風土」についてはハイパフォーマーが7段階評価で平均5.8をつけたのに対し、ローパフォーマーでは1.3ポイント低かった。

 これに続いて評価の差が大きかったのは、企業内で重要な位置づけを持つ「主要チームやプロジェクトの成果」だった。ハイパフォーマーはローパフォーマーに比べ、重要プロジェクトが組織内で認知され、その成果に対して高い評価を与えていた。「日産自動車復活の原動力として『クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)』が注目され、日本企業でもこうしたチームを作る例が増えているが、必ずしもすべてがうまくいっているわけではない。注目度の高いプロジェクトを円滑に運用する力も組織の競争力に大きな影響を与えるものといえる」(西谷氏)

 一方で「ナレッジ・マネジメント・システム」やITなどの「技術インフラ」に対する評価については、ハイパフォーマーとローパフォーマーに大きな差が見られなかった。

 モニターグループでは、今後日本でもオーガニゼーション・スキャンを活用した組織診断やコンサルティングを行っていく。また日本独自のベンチマーキングを行うため、日本の大手企業の管理職などを対象とした大規模な調査を、ウェブサイトなどを活用して実施する予定だ。