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クイックレスポンスの略。アパレル業界において、サプライチェーン全体で情報を共有し、売り上げに連動して迅速に商品を製造し、供給できるようにする仕組み。

 ファッション雑誌の最新号が店頭に並んだ瞬間にチェックし、店舗やメーカーに電話して予約する。若い女性の間では、こんな購買行動が珍しくありません。人気商品はすぐに売り切れて、次の入荷までに時間がかかったり、二度と手に入らなかったりすることが知られているからです。

 メーカーにとっては、売れる商品を継続して供給すれば機会損失を減らして売り上げを増やせるわけですが、アパレルの場合、糸などの原材料が商品として店頭に並ぶまでには1年近くかかることも。これでは売れ行きを見極めてから追加生産しても、需要に間に合いません。納期を短縮するため、アパレルメーカーと、繊維メーカーや縫製業者などが情報を共有し、柔軟な追加生産を行う取り組みがクイックレスポンス(QR)です。

 SCM(サプライチェーンマネジメント)の取り組みの一種ですが、多品種少量生産で流行性の強い商品を扱い、製造プロセスに多くの企業がかかわるなど、アパレル業界独自の課題解決を盛り込んだのがQRといえるでしょう。

◆効果 機会損失防ぎ、在庫を減らす

 1980年代に米国でリーバイ・ストラウスなどの著名企業がQRに取り組んで納期や在庫の削減などを実現した影響を受け、90年代前半から日本の繊維産業でも取り組みが始まりました。この動きには通商産業省(現・経済産業省)の後押しもありました。中国など海外でのアパレル生産が主流になるなか、迅速な商品供給を実現するQRは、国内繊維産業の競争力を増す戦略になると考えられたからです。

 QRでは、製造/小売りで共通した商品コードを用いて情報共有を進めます。企業間で情報を共有するための商品コードやデータベースの整備、EDI(電子データ交換)の普及促進が進められました。

 QRの商品コードはJANコードと呼ばれる標準で13桁の数字を用いたコード体系を採用しています。一方で、1994年にデンソーウェーブ(東京・港)が開発し、仕様を公開している2次元コードで「QRコード」というものがありますが、これはもともと自動車の製造現場で用いられていたもので、繊維産業におけるQRの取り組みとは直接の関係はありません。

◆事例 需要に即応して海外でも評価

 QRで成功したアパレルの代表例が靴下チェーンのタビオ(2006年9月に「ダン」から社名変更)です。約200店舗の単品売り上げ情報をオンラインでメーカーに公開することで、メーカーの材料手配や製造計画策定を支援し、品切れなく店舗に商品供給できる体制を築きました。これによって顧客満足度を高めたタビオは、現在は英国にも出店し成功を収めています。