PR

 総務省の研究会は今回の中間報告書で、「食の安心・安全」については将来像として、「加工度の高い食品や輸入食材を含めて、消費者ニーズが高い食品や食材にICタグや2次元コード(QRコード)を張り付け、トレーサビリティ(生産・流通履歴の追跡)を可能にして、分かりやすい形で消費者に情報を提供できるようになる」とした。また、ICタグと温度センサーを組み合わせることで、生鮮食品の鮮度管理が実現するほか、ICタグにバイオセンサーを組み込むことで、「食品への異物の混入や賞味期限切れなどを検知し、リアルタイムの品質管理が可能になる」とした(表2)

表2 食の安心・安全に関する将来像
【クリックすると拡大表示】

 さらに、食のトレーサビリティシステムを実現するために、生産・流通チェーンの事業者間においてデータベースを相互接続・相互運用できるようにすべきとした。こうした提言を受けて総務省は2007年度末までに、食品の生産から流通までの履歴をすべての関係者が即時に検索できるシステムを開発する計画だ。官民共同の実証実験を通じて、パッケージ化された導入しやすいシステムを開発し、2010年度の実用化を目指す。「大規模な投資をしなくても関係企業が、必要なシステムを導入しやすくする」(総務省の竹内氏)のが目的だ。

救援物資の管理や被害状況の把握なども

 一方、総務省の研究会は災害対策・危機管理の分野では将来的に、情報収集や情報処理においてユビキタスネットワーク技術を活用すべきとした(表3)。こうした研究会の提言をうけて総務省は、!)被災地に送る救援物資の管理、!)被災地における集団救急活動におけるトリアージ作業、!)被災地における被害状況の正確な把握─などにICタグを活用する計画である。このうち救援物資の管理では、救援物資を入れたダンボール箱などにICタグを張り付け、必要な場所に必要な物資を必要な量だけ届けることができるシステムを構築する。

表3 災害対策・危機管理に関する将来像(ICタグに関連する部分を抜粋)
【クリックすると拡大表示】

 トリアージ作業では、紙の傷病者票(トリアージタグ)にICタグを張り付け、負傷者の重傷度を短時間で判断して、医療機関にできるだけ早く搬送できるようにすることを目指す。紙のトリアージタグに必要な情報を手書きで記入する現行のトリアージ作業では、作業効率の悪さや記入ミスといったヒューマンエラーが避けられない。ICタグを利用することで、こうした問題を解決する。

 被災状況の正確な把握では、人が近付けない、あるいは近付くのが難しい場所にアクティブ型ICタグを設置し、アクティブ型ICタグ同士でアドホックネットワーク(自律分散型ネットワーク)を構築することで、効率的に情報収集を行えるようにする。例えばアクティブ型ICタグに温度センサーや加速度センサー、ガスセンサーなどさまざまなセンサーを搭載することで、「被災地の延焼状況や家屋の倒壊状況、救援が必要な被災者の数などを正確につかむことができる」(竹内氏)という。



本記事は日経RFIDテクノロジ2006年9月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。