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フリー・エンジニア
高橋隆雄 フリー・エンジニア
高橋隆雄

2006年末にAsterisk 1.4がリリースされた。GoogleTalkのサポートなど、様々な新機能を追加している。

 本年初めての連載ということで、ビッグ・ニュースとお詫びを。昨年末の本連載でAsterisk 1.4のリリースは2006年中にはないであろう、と書いたわけだが、これは見事に裏切られた。2006年12月27日付けでAsterisk 1.4が正式リリースとなったのである。まずは予想を外したことをお詫びするとともに、ようやくのメジャーなバージョンアップとなったAsterisk 1.4を今回はご紹介することとしよう。

・Asterisk 1.4の予定と実際

 Asterisk 1.4は当初、2006年6月にリリースされる予定だったが遅れに遅れて12月末、しかも27日という微妙な時期にリリースされた。本来ならば2007年1月には1.4の「次の」メジャーなバージョンアップがあるはずだったのだが、事実上これは無くなったと言ってもよいだろう。参考までに、発表されているAsteriskの開発サイクルは次のようになっている。

 -メジャー・バージョンの変更は半年サイクルで実施
 -1~3カ月目
  リリース後の3カ月は大規模な構造上の変更や新機能の取り入れ、バグ・フィックスを実施
 -4~5カ月目
  大規模な構造上の変更は行わない。新機能の取り入れは行う。
 -6カ月目
  βテスト・フェーズ。1週間単位でβリリースを行った後、RCをリリースする。

 というわけで今回はβ3を公開した後に1.4.0正式リリースとなりRCは飛ばされた格好となっている。

 現在のところAsterisk 1.4はまだ1.4.0のままで大きな不具合などによるマイナー・バージョンアップは行われていないが、年末年始という時期的なことを考えると、Asterisk1.4はまだそれほど稼働していないためではないかと思われる。今後の動向には注意を払っておく必要があるだろう。今のところ日本国内のAsteriskユーザも「静か」なようだ。

・Asterisk 1.4の新機能

 Asterisk 1.4では新たにいくつかの機能が追加されている。主な新機能は以下の通り。

-汎用のチャネル・ジッタ・バッファ
-AEL2の採用
 AEL(Asterisk extensions language)は新バージョンのAEL2に置換され、これがAELの正式版となる。
-ボイス・メールのIMAPサポート
-SNMPサポート
-SIPにおけるファクスのT.38パススルーをサポート
-CDR(call datail record)のRADIUSサポート
-日付・時刻読み上げ時の言語設定が可能に
-FreeBSD/Solarisへの移植性が向上
-組み込みのmini HTTPサーバ
-Jabber/GoogleTalkサポート
-G.722ワイドバンド・オーディオのパススルーと録音/再生
-SLA(shared line appearance)のサポート

 「目玉」の機能としてはGoogleTalkサポートやT.38サポートが挙げられるであろう。面白い機能はmini HTTPサーバを内蔵したこと。まだサンプルが添付されている程度の機能だが、AsteriskそのものをHTTPで管理できるようにする。これまでコマンド・ライン/設定ファイルによる管理が基本だったがHTTP対応のマネージャなどを作って組み込むことで、より簡単かつ便利に使えるようになるかもしれない。もっとも、Asteriskは現在その派生としてOS/GUIを抱いたAsterisk Now!(http://www.asterisknow.org/)があるので、こちらとの関係が今後どうなるかはまだよく分からない。

 新機能のほか、性能向上および内部構造の変更が多数ある。「ものすごい」新機能が付いたように見えないのでは、と思われるだろうが、これは当然のこと。Asteriskは当初からSIP、H.323、IAXといった様々なプロトコルをサポートしているため、この段階で新たにサポートされるシカケは特にないからだ。

・Zaptel 1.4

 Asteriskと切りはなして考えることができないZaptelもZaptel 1.4とバージョンが上がっている。これは主にAsterisk 1.4対応のためのDigiumの新ハード(カード)対応のためだが、プログラム・ソースのコンパイル方法などに変更が見られる。従来のZaptelでは単にmakeするだけでコンパイルしていたものが1.4系からは一般的なLinuxのソース同様にconfigureを実行してからmakeを行うことになった。

 便利になった(と思われる)のはコンパイル/ロードするモジュールをmenuselectと呼ばれる簡易メニューで選択できるようになった点で、これは写真1のようなもの。この機能はAsteriskでも取り入れられており今まで手動でモジュール選択を行う必要があったものがメニュー形式になったことで、かなり、分かりやすくなっていると言えるだろう。ただし操作は写真2のようなものなので最初はちょっと、とまどうかもしれない。

写真1●Asterisk 1.4で導入されたコンパイル用の簡易メニュー
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●簡易メニューの操作ヘルプ
[画像のクリックで拡大表示]

 なおコンパイルにあたっては、これまで同様にLinuxのカーネル・ソースを必要とするのであらかじめめインストールしておく。例えばCentOS 4.4ではyum install kernel-develでカーネル・デベロッパ・パッケージをインストールすればコンパイルできるようだ。