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◆今回の注目NEWS◆

◎「情報システムに係る政府調達の基本指針(案)」に対する意見募集について(総務省、2006年12月22日)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061222_8.html

【ニュースの概要】総務省は、「情報システムに係る政府調達において、サービス市場における自由で公正な競争を促し、真の競争環境を実現するとともに、調達手続のより一層の透明性・公平性の確保を図る」ことを目的として「情報システムに係る政府調達の基本指針(案)」を公開した。パブリックコメントの募集(1月18日締め切り済)を経て決定する。


◆このNEWSのツボ◆

 総務省から、「情報システムの政府調達の基本指針」案が公表された。色々工夫され、検討されたことが分かる労作であるのだが、ただ、まだ、なんとなく「?」なところが残ることも事実である。

 この違和感はなんだろう…と考えてみるのと、どうも、政府の調達の仕組み…というか、予算、及び、その執行の枠組みと情報システムの調達という行為の間に矛盾する部分があるような気がしてきた。

 この「基本指針」は、基本的に、調達しようとする情報システムに関する詳細が、予め明確に決まっており、それを、いかに公平に、かつ、透明に調達するか…という立場から書かれている。その限りにおいて、分割契約の仕組みの導入であるとか、著作者人格権の取扱いであるとか、従来から指摘されていた問題点について、多面的な取り組みがされていると評価できる。

 しかし、実際の情報システムの調達に当たって、本当に「細部の細部」まで、最初の段階で明確に決まっているというようなことは、滅多にない。これは、民間企業の大型システムのことを考えれば、よく分かるのだが、システム構築が始まってから新たな要請が出てきたり、仕様書に問題があったりして、手戻りがある…というようなことは日常茶飯事である。このため、民間企業の場合、発注者側と受託者側が相互に情報を共有・交換しながら、ベストな解決を模索していく。その間に、仕様が変更になることもあれば、予算が変更になることもある。要するに、徹底的な「競争入札」よりも、「競争圧力が常に存在する随意契約」のような形を取っている場合に上手くいっていることが多い。

 この「基本指針」においては、「システム改修などの要請に適時かつ柔軟に対応できることが望ましい」とは書かれているが、実際に政府の予算執行の段階になると、これは容易ではない。このあたりは、予算ルール上は、システム構築に関する複数年度予算が認められていることになっているはずなのに、実際の事例がほとんどない…といった現状が示していると考えられる。

 また、発注者が、これだけの精緻な発注を行うために、どれだけのマンパワーが必要か…といった問題もある。現状の各省庁のマンパワーでこれだけのことが本当に出来るのか?ということである。

 基本的に今回の「基本指針」は、従来の課題に対して「一歩前進」した回答を示したと言える。今後は、「情報システム調達」の範囲を超えて予算策定や予算執行の制度にまで踏み込んだ取り組みが期待されるところである。

安延氏写真

安延申(やすのべ・しん)

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後、コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。現在はフューチャーアーキテクト社長/COO、スタンフォード日本センター理事など、政策支援から経営やIT戦略のコンサルティングまで幅広い領域で活動する。