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大塚商会が挑戦した大戦略プロジェクト。1995年当時は、892億円の巨額な有利子負債、在庫回転率も14回/年と低く、同社の経営状態は極めて切迫していた。だが、2005年12月には、有利子負債はわずか92億円と約90%の激減、在庫回転率は29.5回/年にまで向上している。2635億円だった売上高は3802億円と44%もアップ。この驚異的な業績回復の秘密はどこにあるのだろうか。

トータル&ワンストップ
中小企業のIT化を支え半世紀

大塚裕司氏

 大塚商会が青焼きコピー用の感光紙の販売を開始したのは1961年7月のことである。以来、顧客のニーズに応じて、オフコンとアプリケーション開発、電話機などの通信機器、パソコン、CADシステムへと商品展開を充実させ、OAの大塚商会と称されるようになった。さらに、ネットワーク、Web事業&セキュリティなど事業を拡大し、トータル&ワンストップソリューションプロバイダへと進化している。

 この間に、顧客数は69万社、280サービス拠点、売上高は3802億7700万円(2005年12月期)にまで成長した。「創業以来一貫して、お客様の情報化、業務効率化を支援してまいりました。オフィス用品からIT機器全般まで幅広く提供するマルチフィールド対応により、国内最大級のソリューションプロバイダに成長することができました」と、大塚商会の大塚裕司社長は振り返る。

 だが、この成長も順風満帆とはいえなかった。バブル崩壊後は、取扱商品の増大、在庫の増大、借入金の増大、サービスの多様化、売掛金の増加、業務の重複などが表面化し、深刻な経営危機に見舞われた。

 「例えばお客様へのクイックサポートを目的に数多くの拠点を設け、営業権限のほとんどをそれら拠点がもっていました。それぞれがミニ大塚商会という中小企業の連合体で、現場がどのような状態になっているか、よくつかめませんでした」(大塚社長)。

 こうした経営体質を抜本的に改善する必要に迫られ、当時常務取締役だった大塚裕司氏を中心に、大戦略プロジェクトをスタートさせた。それはどのような内容だったのだろうか。

企業会計原則の本来の姿へ
当たり前のことを当たり前に

 1993年、プロジェクトメンバーが狭い会議室に集まり、深夜までブレストを続ける。そのベースとなったのは「当たり前のことを当たり前にやる」「会社をつぶさない」という、大塚氏の信念であった。「この時に描かれた1枚のホワイトボードがすべての原点になっています。このボードは効果を実感できるまで8年間消されることなく残りました」(大塚社長)。

 当時、各拠点にオフコンが設置され、その業務データが日次バッチで本部の汎用機に送信されていた。本部と拠点それぞれの機能が重複、分散しており、データの精度や集計速度も満足のいくものではなかった。

 そこで、拠点の業務を営業活動に特化させ、売上・売掛・在庫・仕入などの業務をすべてセンターで集中処理することにした。管理機能の充実のために例外処理の排除、自動入金、自動計上、顧客情報の一元管理、与信管理の強化を徹底。オープンシステムによる基幹系システムの刷新で、これらが可能となった。

 さらにネットワークインフラを順次強化し、1人1台のパソコン環境を整備して、役員を含めて全社員にパソコン活用の教育を実施する。社内の連絡をFAXで行うことを禁止し、グループウエアを活用することを義務付けるなど、社員の意識改革と業務刷新も大胆に実行していった。

独自CRM&SFAシステムを開発
営業利益、98年比10倍を実現

 同社の大戦略プロジェクトの成功を強力に後押ししたI Tインフラが「SPR(Sales Process Re-engineering)」である。オリジナルのCRM&SFAシステムであり、(1)顧客プロフィールを正確に知る、(2)顧客との取引履歴(過去〉を知る、(3)顧客への提案状況(現在)を知る、(4)顧客の要望・ニーズ(未来)を知るの4つを可能にす る。これにより、飛躍的な営業力の強化と効率化、顧客満足度の向上などを実現できた。

 SPRには、取引があるすべての顧客の受注履歴と営業実績、サポート実績がデータベース化されている。さらに、未取引企業を含めると119万件にのぼるターゲットデータがある。「これをもとに、潜在ニーズの掘り起こしができます。行き当たりばったりの営業や、精神論だけの営業ではなく、科学的手法を用いた営業戦略を立てることができるのです。SPRによって、通信とコンピュータ、事務機などの複合提案も行えるようになりました。会社の動きにレーダーがついたようなものです」と、大塚社長はSPRの効果を語る。

 グラフからもわかるように、2002年からSPRは威力を発揮し始め、1人当たりの売上高と経常利益とも急上昇している。営業利益は1998年と比較して10倍まで伸びており、その多くをSPRによると、大塚社長は指摘する。

図●社員1人当たり売上高と営業利益の推移
図●社員1人当たり売上高と営業利益の推移
1人当たりの売上高と経常利益ともに急上昇。営業利益は1998年と比較して10倍まで伸びている
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 効果はこればかりではない。95年には892億円の有利子負債が2005年には92億円まで削減。有利子負債比率も54.6%から5.7%まで激減し、財務体質が大幅に強化されている。14回/年と低かった在庫回転率は29.5回/年にまで向上。管理機能の充実により、貸倒額も激減し事故率はわずか0.02%にすぎない。

 これらプロジェクトを通じて「IT戦略は経営戦略そのもの」であると、大塚社長は強く感じたという。その言葉のとおり、プロジェクトの方針を具体的な施策に落とし込むため、ITの力を最大限に活用している。「この経験をふまえ、お客様に最適なITの活用方法を具体的に提供してまいります。そして、すべてをまかせていただけるような会社として認められたいと思います」と、最後に抱負を語った。