PR

 NGNフィールド・トライアルのショールーム「NOTE」は大きく四つのパートで構成される。NGNのコンセプトや要素技術の紹介,企業向けの「NGN for Business」,テレビなど生活に密着した端末やシステムを展示する「NGN for Life」,介護やヘルスケアなど社会に貢献するシステムを展示する「NGN for Society」である。

 展示内容で目立つのが,ハイビジョン画像や高品質の音声を売りにした端末やシステムだ。これらは,NGNの特徴の一つで通信の品質を制御可能にするQoS(quality of service)を活用。通信に必要な帯域を確保することによって,安定した高品質の画像や音声を提供する。

臨場感たっぷりのテレビ会議

写真1 NTT持ち株会社の和田紀夫社長(右)
表 ショールームで検証されている企業向けサービス/端末の例[画像のクリックで拡大表示]
写真1 シスコシステムズのCisco TelePresence
写真1 シスコシステムズのCisco TelePresence

 「NGN for Business」()では,例えばハイビジョン画像を駆使したシスコシステムズ製IPテレビ会議システム「Cisco TelePresence」(写真1)が展示された。65インチの大型プラズマ・ディスプレイ3台と高精細カメラ,MPEG-4の約2倍の圧縮率を実現する動画圧縮方式H.264に準拠したコーデック装置などを使用し,遠隔地の相手を等身大で画面に映す。3台合計で15Mビット/秒の帯域を使うハイビジョン画像とCD並みの音質で,出席者は同じテーブルについているかのような臨場感を味わえる。

 Cisco TelePresenceは既に製品化されており,通常のIPネットワーク上で利用可能だ。しかし,帯域が十分にない場合,画面にノイズが発生して本来の臨場感が出せないこともある。NGNのQoSで帯域を確保することで「別の端末で動画がダウンロードされていても,画像に影響が出ないことなどを検証していく」と,シスコの篠浦文彦執行役員ビジネス開発担当は話す。NGN上で安定した高品質な映像や音声を実現できるようになれば「企業だけでなく,公共機関や自治体の業務でもTelePresenceの活用が広がるだろう」と,篠浦執行役員は期待する。

ハイビジョン画像と電子カルテで医療支援

写真2 遠隔病理診断支援システム
写真2 遠隔病理診断支援システム

 NTTが出展した「遠隔病理診断支援システム」(写真2)は,病理医が遠隔地の病院の執刀医と協力して手術するという設定。遠隔地の顕微鏡を操作し, 20Mビット/秒のハイビジョン画像を見られる。既にテレビ会議を使った同様のシステムはあるが,高画質化のニーズが強く,ハイビジョン対応が望まれている。顕微鏡のハイビジョン画像はほとんど遅延なく安定して映し出されるので,病理医は細胞や組織の鮮明な画像で診断できる。同時に電子カルテを送受信できるので,病理医は電子カルテを見ながら遠隔地の執刀医に対して正確かつ迅速な指示を出せる。

 NTTが展示した「高品質IP電話会議装置」(写真3)は,通常の電話(0.3k~3.4kHz)の約2倍の最高7kHzの帯域を使うUEMCLIP方式を採用。UEMCLIPは,NTTサイバーコミュニケーション総合研究所が開発した音声符号化方式で,96Kビット/秒の帯域を使用。これによって,AMラジオ並みの音質を実現できる。

 NECが技術協力しNTTが展示した「PTMN(push to talk with multimedia over NGN)」は,携帯電話のボタンを押すだけで一度に多数の相手と会話できるプッシュ・ツー・トークを静止画などのやり取りに拡張したコミュニケーション・システムだ(写真4)。PTMNでは,QoSやネットワーク経由で在席状況を把握できるプレゼンス,リアルタイム通信などNGNの機能を活用。専用のサーバーに対して,パソコンやPDAから音声や画像データなどを送信すると,即座にほかの全端末にそれが届く。複数の端末同士が情報を共有しながら作業に当たれる。

写真3 高品質IP電話会議装置   写真4 離れた仲間同士で情報共有できるPTMN
写真3 高品質IP電話会議装置   写真4 離れた仲間同士で情報共有できるPTMN

広域イーサ向けに二重化アクセス回線を予定

 NTTは,NGNを使った企業向け通信サービスとして,広域イーサネット・サービスを例示している。

 同サービスは,離れた複数の拠点間を最大10Gビット/秒で接続。ユーザー企業側で,アプリケーションごとにQoSを設定することが可能になる。例えば,ハイビジョン画像を使うテレビ会議システムで重要な打ち合わせをする場合に,帯域を確保してスムーズな会議の進行が可能になる。

 広域イーサネットを活用したディザスタ・リカバリ・システムの構築も可能だ。通常のシステム環境のストレージとリカバリ・システム環境のストレージのデータを高速に同期できる。

 障害に強くするため,局舎とユーザー企業の間のアクセス回線を二重化する例も示した。NGNのアクセス回線メニューの一つになる見込みだ。

ネット・バンキングの認証に発信者ID利用

 NGNのセキュリティ機能を使ったデモも複数見られた。NGNでは,回線ごとに発信者IDを識別する機能を搭載。この機能を使えば,なりすましを防止したり,DoS(denial of service)攻撃を仕掛けた発信先を特定したりすることが容易になる。

 その一つが,インターネット・バンキングの認証での利用だ。デモでは,利用者が相手先の口座に現金を振り込む場面を想定。認証情報としてあらかじめ回線の情報を登録し,「回線確認」のボタンをクリックして発信者IDを確認する。正規の回線と認証できれば振り込みの決済を完了できるが,認証できない場合には決済を完了できない。これによって,不正ユーザーによる振り込みを防止できる。

 ただし,この認証機能の活用にあたっては制約もある。振り込みに使う回線を限定してしまうことになるからだ。例えば外出先から振り込みたいといったニーズには応えられなくなってしまう。

■変更履歴
記事掲載当初,高品質IP電話会議装置に採用した音声符号化方式を一部「UMECLIP」と表記していましたが正しくは「UEMCLIP」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/03/17 14:30]