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実績がない分野で、江崎がした工夫とは何か。「一例が、顧客と合同で勉強会を企画したこと」(江崎)だ。顧客訪問で聞き出した悩みや関心事を踏まえ、専門家を社内から呼んで最新動向を解説してもらったり、顧客と議論を積み重ねたりした。そこで顧客が思いとどまっていたシステム刷新の打開策が見付かり、商談が動き出した。
江崎の営業スタイルが面白いのは、客先で広く人脈を作るだけでなく、競合他社の営業にも声をかけて飲みに誘うといった気さくさだ。「私自身は顧客や当社のスタッフ、ライバルにさえも自分を信頼してもらい、その人たちを結ぶ情報のハブでありたい。そんな縁を築くことが良い仕事につながる」と、自らの信念を語る。
縁を重んじる考え方は、仕事を通じて「仕事は、行き着くところ人間同士の結び付き。個と個の結び付きを強くすれば、企業間でも強い関係を築ける」との思いを強くしたことから生まれたという。
そんな江崎の現在のかばんは、昨年のクリスマスに妻から贈られたプレゼント。顧客を訪問する際、その中には必ず入っている書類がある。顧客に提出したすべての説明資料をとじたファイルである。「行き違いがあっても、過去の資料を取り出してその場で議論し、すぐ解決する。行き違いを後に残さず、信頼を積み重ねることもできる」。縁を大事にする江崎ならではの持ち物だ。
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