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 まだ世代間ギャップは大きいものの、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者が増え、インターネット上で口コミが広がりやすくなった。そんな「口コミ2.0」時代に企業のマーケティング部門はどう対応したらいいのか。書籍「口コミ2.0 正直マーケティングのすすめ」の著者である上原仁氏に聞いた。

 上原氏は、NTTレゾナント(東京都千代田区)を退職し、2006年にマイネット・ジャパン(東京都中央区)を設立。ニュースサイト「newsing」を運営するほか、企業サイトのウェブ2.0化支援などを手がける。また、上原氏の「近江商人 JIN BLOG」は人気ブログの1つである。
(聞き手:杉山 泰一=日経情報ストラテジー)


マイネット・ジャパンの上原仁社長。今年1月から店舗プロモーション用の携帯電話サイトを簡単に構築できるサービス「katy(ケイティ)」の提供も始めた
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インターネットを介して口コミが簡単に広がる世の中になりました。自社の商品やサービスに対して良い評判が生まれるようにするには、プロモーション戦略を練るマーケッターはどんな点に気をつけたらいいのでしょうか。

 「答えは1つです。マーケッター自身がブロガーの世界に飛び込むしかない。例えば、自分が狙っている領域の情報について深く語っているブロガーを見つけ、ブログで接触したり、リアルの場で会ってみるのです。ブロガーは基本的にトラックバックやコメントをもらうのを嬉しく感じます。私がNTTレゾナントで『goo』のサービス統括を担当していた時も、そういう行動をしていました」

 「もはやインターネットで積極的に情報発信する人たちを無視できない時代です。ネット上の口コミはいつまでも消えないし、誰でも簡単に検索できるからです。マーケッターは、自分の商品がネットの世界で何と書かれているかを絶えずウォッチしておくべきです」

 「ところが、ブロガーとどう接していいか分からない。接し方を誤ると“炎上”するかもしれない。そんな風に悩んでいるマーケッターの方もいると思います。でもそんな暇があったら、彼らの“空気”に触れてみるべきです。情報感度の高い先進ブロガーほど、空気を読めない者を嫌う傾向があるもの。空気を読んで共感を得ることが大切です」

 「ただし口コミの内容をコントロールできると思ってはダメです。コントロールしようとするのではなく、炎上を防ぐ行動に力をいれるべきです。また、マーケッターはインターネットの口コミに多大な夢を持ちすぎてもいけません。現時点では、ネットの口コミに敏感なのは子育て層とエバンジェリスト層に限られます。前者は30代の女性が、後者は30代の男性が中心です」

リアルな場で接するといえば、上原さんはブロガーやマーケッター、企業サイト担当者などが参加する「RTC(Real Time Context)カンファレンス」という会合を毎月開いています。開催の狙いは何でしょうか。

 「RTCカンファレンスは、純粋に、『自分でブログを書いてみたらいつの間にか騒がれるようになっていたけど、ほかのブロガーはどんなことを考えているのだろう。直接話をして、それをまたブログに書いてみたい』と思って、2005年に始めたのです」

 「マーケッターの方々が自主的にこうした会合を開くのはお薦めです。ただし、商品をその場で売り込むなど金儲けを主目的としてしまったら続かないでしょう」

テレビCMや新聞広告などのマスプロモーションと、ネットを活用したプロモーションとの違いは何でしょうか。

 「マスプロモーションは、商品の認知度の拡大を得意とする手法です。これに対して、ネットは営業担当者が得意とする販売促進を担えます。詳細な商品情報などを掲載したサイトに1000人がアクセスしたら、1000人に営業したと見なすこともできます」

 「営業担当者であれば、お客様に聞かれたことにすぐ応えられるようにしておくもの。ネットを活用したプロモーションをするなら、マーケッターも口コミを頻繁にチェックしたり、自社ブログを介した質問に素早く回答できるようにすべきです。これからのマーケッターはそんな営業感覚を強める必要があるのではないでしょうか。ネットプロモーションは営業活動の一環だと考えて、お客様に真摯に接していくことが大切です」