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3年前、名古屋の中部事業部から東京へ転勤。同時に35歳という若さで、同社最年少の部長になった。現在は8人の部下と共に、流通・サービス分野の中堅・中小企業を対象とした顧客開拓にまい進している。
流通・サービス分野では、情報システムの抜本的見直しニーズが高まっており、数億円の商談も少なくないという。だが、例えば売上高が100億円規模の企業にとって、億単位の投資はまさに社運を賭けた真剣勝負。その思いを受け止めるため、顧客訪問ではできる限り、トップに会わせてもらう。「担当者レベルでの合意が、本当に経営者の意に沿った内容なのか確認し、意見を聞くのは欠かせないプロセス」と言う。
顧客とのやり取りで、久保が大事にしていることが二つある。一つは「立ち位置を考える」こと。過去に、プレゼンで顧客に過大な期待を持たせてしまい、失敗した経験がある。以来、自社でできないことをはっきりさせ、大風呂敷を広げないことを肝に銘じている。もう一つは「安心を提供する」こと。トラブルが発生しても、顧客には決して動揺した様子は見せない。そして顧客とのコンタクトポイントとして常に最前線にいて、正確な情報を伝え続けることを心がけている。
久保は顧客訪問時には、必ず何らかの資料を作って持っていく。前回の面談の内容を、A4一枚にまとめるだけでいい。そして「前回はこういう内容でしたよね」と打ち合わせの冒頭で意識合わせをするだけで、相手の印象は格段によくなる。これは実は、成績のいい部下から学んだこと。チーム全員に薦めている習慣だ。
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