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ソフトスイッチ・ベンダーの米ソナス・ネットワークス。同社は米ベライゾン・コミュニケーションズやドイツ・テレコムなど,欧米の大手通信事業者への製品導入実績を持つ。KDDIが固定電話網のIP化で同社製品を採用しているなど,日本の主要通信事業者の大半もソナスの顧客だ。世界中で進む「電話網のIP化」というトレンドの中で,存在感を高めつつあるソナスのアーメッドCEOに,同社の強みと2007年の目標を聞いた。(聞き手は宗像 誠之=日経コミュニケーション

日本市場での取り組みを教えてほしい。

 日本市場における売上高は公表していないが,日本は大きなマーケットと認識しており,実際に成長率は高い。米国と異なり,日本はブロードバンド回線が早期に普及し,通信事業者も音声網のIP化に積極的だ。IP電話用に「050番号」を専用に割り当てるなど,政府の政策的な対応も,世界に比べて早いという特徴がある。

 日本の通信事業者にはこれまで,KDDIやNTTコミュニケーションズ,ソフトバンクBB,ジュピターテレコム(J:COM),フュージョン・コミュニケーションズなどにソナスの製品を導入済み。日本の大手の通信事業者のほとんどのIP電話網に,我々の製品が入っていることになる。

 だが,日本市場で売上高を無線分野に期待している。

 音声網をIP化する動きは,まず固定通信事業者から始まった。実際に我々のソフトスイッチも固定通信事業者への導入実績が,世界的に見ても多かった。しかし,ここ2年ほどで状況が変わってきている。ネットワークのIP化に対する携帯電話事業者の関心が高まっている。米国では大手携帯電話事業者のシンギュラー・ワイヤレスが我々の製品を導入しており,日本でもPHS事業者のウィルコムが採用している。現在はワイヤレス網のコア部分が主にIP化されている段階で,徐々にエッジ部分もIP化されていくはずだ。

 移動通信事業者のIP化は,2007年から本格化する。2007年から2008年にかけて,世界中で大きな動きがあるだろう。

電話網のIP化を包含する,NGN(次世代ネットワーク)のコンセプトについては,どう考えているのか。

 NGNの定義はとても広いが,特に重要なのは,「IP技術を使い,パケットであらゆるサービスを提供する」という考え方だと思う。従来の「交換機を使い,特に音声にフォーカスしたサービスを提供する」という考え方とは対極にある。

 NGNへ向かうこの変化はソナスにとっても,大きなチャンスだ。ソナスの製品は,NGNで重要な規格である「IMS」に対応するベースができている。我々は「IMSレディ」という言い方をしているが,これはソナスの製品であればIMS対応がソフトウエアのアップグレードですんでしまう準備ができているということ。IMS対応のために,新たな通信機器を導入したりシステムを開発し直したりする必要がない。その点が,他社製品とは異なる強みだ。

NGNのキラー・アプリケーションは何だと思うか。

 今言うのは難しい。一つだけ言えるのは,ネットワークを使ったユーザーのコミュニケーションの取り方が変わってきているということではないか。

 そういった潮流の中で,通信事業者にとって重要になるのは,NGNを使ってすぐに新しいコミュニケーション・サービスを開発し,カスタマイズして特徴を出せるようにしておくことだと思う。

日本では2006年秋,NTT東西地域会社のIP電話サービス「ひかり電話」が大規模障害を起こし,「従来の固定電話に比べるとIP電話の信頼性がまだ低いのは」という議論が起こった。

 既存の音声網は,非常に巨大なネットワークであるにもかかわらず,十分な信頼性を確保しなければならない。規模と信頼性の両立をIP技術で実現するのは,とてつもなくチャレンジングであることは確かだ。

 しかしソナスの製品が競合他社と違うのは,「IPという新技術で,従来どおりの音声サービスを提供すること」に注力してきた点だ。そこに,従来から交換機を作ってきたベンダーとは異なる優位性がある。すべてのベンダーがIP技術に注力しているわけではない。

 日本の大手交換機ベンダーや,米国のルーセント・テクノロジーズ(現アルカテル・ルーセント),カナダのノーテル,欧州のシーメンス,といった有名な交換機ベンダーを,大手通信事業者への導入の際のコンペで我々は打ち負かしてきた。ソナスの製品が採用されたことは,IP技術で規模と信頼性を両立できる力があると,大手通信事業者に判断された証拠だろう。