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日経コンピュータ2006年10月30日号の記事をそのまま掲載しています。執筆時の情報に基づいており現在は状況が若干変わっていますが、BCP策定を考える企業にとって有益な情報であることは変わりません。最新状況は本サイトで更新していく予定です。

 地方自治体のなかには、データセンターを誘致するために助成金を拠出しているところが少なからずある(表2)。2001年秋に埼玉県にあった自社のデータセンターを福井県に移したアクサ損害保険の橋本桐江テクニカルサポート本部ISセキュリティ部部長は、「福井県に移設した大きな理由の一つは助成金だった」と打ち明ける。

表2●データセンターの移設で補助金を出している主な自治体
表2●データセンターの移設で補助金を出している主な自治体
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 同社の場合は自社のデータセンターだが、事業者が提供するデータセンターを利用しても補助金を得られるケースが多い。2005年12月に沖縄県のデータセンターにバックアップ・システムを設置した外為どっとコムの場合、「データセンターの利用に7000万円前後かかったが、うち2000万円は補助金でまかなえた。さらに、東京のデータセンターとの間の100Mビット/秒の幹線を無償提供してもらえることが(沖縄を選んだ)ポイントだった」(システム部の大嶋一彰 副部長)という。

基幹系では、まだ少数派

 ただ、やはり地方のデータセンターの利用は、「災害対策の観点からのバックアップ・センターが目的であるケースがほとんど」(沖縄データセンターへの誘致をはじめとする、ネットワーク・インテグレーションを展開する沖縄クロス・ヘッド)である。いくら高速なネットワークを引くことができ、遠隔から操作できるとはいえ、基幹業務そのものを地方のデータセンターに移す例は少ない。「ハウジング専門のデータセンターはバックアップ用途で6~7割埋まっていても、ITサービスがメインのデータセンターは2割くらいしか埋まっていない」(沖縄クロス・ヘッド)。

 基幹系システムの移転が進まない理由は、「バックアップ用途ならまだしも、メインシステムの運用では、やはり相応の技術者が必要。地方では、その人員の確保が難しい」(同)からである。外為どっとコムは、「沖縄支店を出したことと、コールセンターを沖縄に移したことで必要な人員は確保できた点が沖縄での安定稼働に効いている」(大嶋副部長)。

 もちろん、ユーザー企業が置かれている立場によって、決断は異なる。例えば海外旅行商品のオンライン販売を手掛けるグローバルトラベルオンラインは、「理想は都内にデータセンターを借りることだが、費用対効果で千葉を選んだ」(後藤淳一 副社長)。首都圏ではあるが、インターネット販売のネット・ベンチャーとしては、大きな決断と言える。「現時点では当社の顧客は個人海外旅行に慣れた人たち。最悪、システムが数時間落ちても、コールセンターで何とかなる。その分、商品価格を落とした方が喜ばれる」(同)との判断である。

疑問3は…ウソ 利点はあるが見極めが大切