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 最初に試みる方法としては,回復コンソール(OS修復用のコマンド・ライン・インターフェース。OSのインストールCD-ROMまたは,CD-ROMから作成したフロッピ・ディスクでコンピュータを起動して使用する)で,NTLDRファイル(Windowsのブート・ファイル)を復元するのが適切である。

 シナリオからは何が直接の原因かは分からないが,起動時の表示メッセージから,NTLDRファイルの破損か,boot.iniファイルの記述を書き換えたことが原因であると推測される。

 回復コンソールは,OSのインストールCD-ROMから起動するものなので,OSが起動しない場合でも使用可能である。システム・ファイルの置換や,MBR(マスター・ブート・レコード)の修復などができる。同じ構成のサーバーがあれば,そのサーバーで起動ディスクを作成して,回復コンソールを呼び出すという方法もある。

 (1)のように,ASRを使ってシステムを復元した場合,OSの再インストールやシステム・ファイルをバックアップ時点の状態に復元するといった作業が,一括で実行できる。ただし,サーバー上のデータやアプリケーションなど,システム構成以外の復元は保障されない。そのため,ASR復元後,バックアップ・データからアプリケーションのデータを復元する必要があるので,ダウンタイムが長くなる。

 (3)の「前回正常起動時の構成」は,前回正常ログオンした時点のレジストリ設定を使用して起動する方法である。レジストリの編集やアプリケーションのインストール,デバイス・ドライバの更新などによって起動しなくなった場合に便利である。ただし,起動時に使用するファイルが破損している場合には,利用できない。

 (4)のように,OSを再インストールし,バックアップ・ファイルから復元すれば,サーバーは復旧できるが,時間がかかる。そのため,まず試みる方法としては適切ではない。

 Windows Server 2003では,起動の際に以下のファイルが必要である。

・NTLDRファイル
 boot.iniを読み込み,ブートメニューを表示する。OS起動に必要なコンポーネントの呼び出し,デバイスドライバのロードを行う。

・NTDETECT.COMファイル
 ハードウエアの検出を行う。

・boot.iniファイル
 オペレーティング・システムの選択とその位置,起動時のオプションを指定する。

・Ntbootdd.sysファイル
 BIOS起動できないディスクを使用するためのデバイス・ドライバ(必要時のみ)。

 いずれも標準で,「C:ドライブ」の直下に存在する。ただし,既定では表示されないので,[フォルダオプション]-[表示]タブで,「すべてのファイルとフォルダを表示する」を選択し,さらに「保護されたオペレーティングシステムファイルを表示しない」のチェックを外す必要がある。

 起動ディスクは,これらのファイルをフロッピ・ディスクにコピーして作成する。起動ディスクを使用すると,このシナリオのようにシステム・パーティションに障害が発生した場合にOSを起動できる。

 また,boot.iniを編集すると,ブート・オプションの設定ができる(図1)。

図1●ブートオプションの設定画面
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 boot.iniは,2つのセクションからなる(図2)。なお,マルチブート構成のサーバー上でOSを追加インストールした際などは,パーティションの構成がずれてしまうことがある。注意してほしい。

図2●boot.iniファイルの内容
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・[boot loader]セクション
 [boot loader]セクションでは,「default」と「timeout」の2つの変数を指定する。

 「default」は,ユーザーがオペレーティング・システムの選択操作を省略した時に起動するARCパス(ARC(Advanced RISC Computing)仕様によって記されたパス,詳細は後述)名である。「timeout」は,メニュー表示の待ち時間(秒)である。timeoutの値を「0」にすると,メニューが表示されずにdefaultに指定されたオペレーティング・システムが起動される。また,「-1」を設定すると自動起動しない。

・[operating systems]セクション
[operating systems]セクションの各行には「ARCパス名=“メニュー項目” オプション」の形で指定する。マルチブート構成の場合は,複数行になる。メニュー項目は,選択画面の表示内容なので自由に変更が可能である。

 ARCパス名は以下のように記述されている。

<component>(X)disk(Y)rdisk(X)partition(N)パス

・component
 multiまたはscsiのいずれか。「multi」はBIOSから起動できるハードディスク。「scsi」はBIOSから起動できないSCSIハードディスクである。

・X
 0から始まるコントローラ番号。multiの場合は常に0,scsiの場合はSCSI ID番号。

・Y
 multiの場合は0から始まるディスク番号,scsiの場合は論理ユニット番号。

・N
 1から始まるパーティション番号(0はディスク全体を表す特別な意味を持つ)

・パス
 オペレーティング・システム・カーネルへのパス

 Windows Vista,Windows次期サーバーOS(開発コード名:Longhorn)では,boot.iniは使用されず,替わりにブート構成データ(BCD)が使用される。BCDによって,拡張ファームウエア・インターフェース(EFI)の相互運用が可能になるほか,Windows Vistaのブートに関する新機能が利用可能になる。詳しくはマイクロソフトのWebサイト「ブート構成データ エディタについてよく寄せられる質問」を参照のこと。