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 雪国でなければ町で長靴をみることはなくなった。ドロ道がどこにでもあった時代の身近な用具が消えつつある。いまその活躍の場は漁業や食品加工などに従事する人々の職場に特化した機能優先のデザインが主だ。

 ところがパリのパレ・ロワイヤル広場に面した園芸用品店のウインドーに鮮やかな色彩と紋様のゴム長があった。マニュエル・キャバスというデザイナーの作品だ。テキスタイルを一枚表面に貼っただけのようだが、それだけでオシャレな履物に変身。ゴム長をはいて別荘の庭の手入れをするフランス前大統領、故ミッテランの姿が放映され、これがヨーロッパのシックかと思わせたが、まさにそんな特権的な庭の手入れにふさわしいゴム長だった。

 だがもう一足、タダの黒ゴム長の口に羽毛のショールを捲いたデザインも発見。普通が一瞬にしてエレガントな存在になるデザインの意外性に驚く。お出かけに靴を選んでから服を選ぶことも多い国だ。履物のデザインに敏感な国民性は、ゴム長でさえトップファッションに仕上げる。