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 不可解な記事を見つけた。「米国防総省のある部門によると,カナダを訪れた少なくとも3人の米国人労働者のポケットから,小型無線発信器が仕込まれた奇妙なカナダのコインが見つかった」というものだ。

 記事によると,「セキュリティの専門家は,『この小型装置を使うと機密軍事技術を取り扱う国防関係者の行動を追跡できる』と考えている」という。とても信じられない話だ。人間の追跡など,こうした特殊なものをわざわざ広めるよりずっと簡単な手段で実現できる。例えば,追跡対象者の携帯電話機などが利用可能だろう。

 この記事が掲載されてすぐに,新しい情報が流れた。

--この件に詳しい米国の政府関係者は,『スパイ発信器が組み込まれたカナダのコインが見つかったという記事は誇張だ』と述べた
--その匿名の政府関係者はグローブ&メールに『そんな話は全くない』と語った
--『奇妙な外見をしたカナダのコインが米国で多少疑われただけで,疑念には根拠がないと判明した。これらコインがリスクにつながることを示す証拠は1つもない』(この政府関係者)

 読者は好きな方を選べばよい。最初の記事は,単なる誇張か,関係者が足跡を隠す目的で別の話題に注目を集めようとしているかのどちらかだ。この記事に事実はほとんど含まれていないはずだ。

http://ca.news.yahoo.com/s/capress/spy_money
http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/...

Copyright (c) 2007 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Radio Transmitters in Canadian Coins」
「CRYPTO-GRAM January 15, 2007」
「CRYPTO-GRAM January 15, 2007」日本語訳ページ
「CRYPTO-GRAM」日本語訳のバックナンバー・ページ
◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,2006年10月に英BTの傘下に入りました。国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。