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写真●打ち合わせをするFPTソフトウェアの技術者
写真●打ち合わせをするFPTソフトウェアの技術者

 3年間で売上高が8.6倍--。ベトナム最大手のシステム・インテグレータFPTソフトウェアは、倍々ゲームで事業拡大を続けている。その躍進を支えるのが、エリート技術者たちだ。同社でプロジェクトマネジャを務めるグエン・ハイ・ロン氏がその一人。29歳で、30人の技術者を部下に、ベトナム側のプロジェクト責任者を務めている。

 FPTでは、入社2~3年生が技術者数人をまとめる「リーダー」になる。リーダーの上司となるロン氏のようなプロジェクトマネジャは、最年少者が26歳。30歳以上の技術者が少ないだけに、どんどん出世していく。

技術者の2~3倍稼ぐ“コミュニケータ”

 FPTソフトが日本企業を相手とした開発の進め方はこうだ。日本のユーザー企業の場合、国内ベンダー経由でFPTソフトに発注するケースがほとんど。そこでFPTのブリッジSEは、ユーザー企業との要件定義を終えた国内ベンダーのSEと共に、日本で基本設計・詳細設計を進める。

 その後コーディングと単体・結合テストをベトナムでこなし、成果物を国内ベンダーに納品する。この際、ブリッジSEを中心に、日本での総合テストを支援する。技術者を国内ベンダーの開発拠点に送り込み、オンサイトでプロジェクトに参加させるケースもある。

 システム開発に携わるFPTソフトの技術者は、日本語が話せない人が少なくない。そこでFPTでは「コミュニケータ」と呼ぶ通訳を使う。コミュニケータは、ブリッジSEと共に日本企業との打ち合わせに参加し、日本語とベトナム語の通訳をしたり、顧客から受け取った日本語の仕様書や設計書をベトナム語に翻訳したりする専門職である。

 FPTソフトの社員数は1675人。うちコミュニケータは100人を超える。プロジェクトでは、技術者5~10人に一人の割合で、コミュニケータをアサインしている。FPTには大きく11の事業グループがあり、そのうち日本向けの開発を手掛けている9グループのいずれにもコミュニケータが所属する。ロン氏が所属する総勢80人の「グループ21」には、10人のコミュニケータがいる。

 コミュニケータの採用競争は、技術者以上に厳しい。日本向け事業を拡大したいソフト会社から、「ハノイ外国語大学」など難関大の日本語学部卒業生に求人が殺到している。給料も急騰気味だ。ベトナムのIT事情に詳しいある日本企業の幹部によれば、「技術者の月給は新卒で2~3万円強だが、コミュニケータはその2~3倍の6万円以上を稼ぐ」という。

 慢性的なコミュニケータ不足もあり、FPTソフトでは、グループ企業が運営する日本語教育専門学校を使い、多くの技術者に日本語の読み書きや会話を習得させている。冒頭のロン氏も、日本語の特訓を受けている。「納期を守るためには徹夜も珍しくない」(ロン氏)なかで、1回2時間の講義が1週間に3回ある。