PR
0.05mm角の無線タグ用IC
0.05mm角の無線タグ用IC
[画像のクリックで拡大表示]
ICの断面の構造。両面にAu(金)の電極を備える。
ICの断面の構造。両面にAu(金)の電極を備える。
[画像のクリックで拡大表示]
メモリの構成。1T型のセルを16×8個並べた。
メモリの構成。1T型のセルを16×8個並べた。
[画像のクリックで拡大表示]

 日立製作所とルネサス テクノロジはISSCC 2007で,寸法が0.05mm×0.05mm×5μmと非常に小さいRFIDタグ(無線タグ)用ICについて講演した(講演番号26.6)。2006年のISSCCで発表した0.15mm×0.15mm×7.5μmの「次世代ミューチップ」のさらに2/27という小ささである(Tech-On!関連記事)。

 このICは,SOI基板を使う90nmルールのCMOS技術で製造した。3層のメタル配線層を備え,寸法が21μm×32μmの128ビットの情報を記録できるメモリを搭載する。別に用意した外付けアンテナに張り付けて利用し,2.45GHzの周波数で無線タグのリーダーと通信する。通信距離は最大300mmである。通信時の消費電力は「1mW弱」(講演者の日立製作所 中央研究所 主管研究長の宇佐美光雄氏)であるという。

 今回の無線タグ用ICも0.15mm角のものと同様に,アンテナと接続するための電極をICの両面に備えている。ICの寸法が小さいため,ICの表と裏を区別してアンテナに張る作業は非常にコストがかかる。電極を両面につけることで細かな向きや位置の調整を不要にした,というわけである。アンテナは従来の無線タグに用いられている6cm前後の長さのものを想定。アンテナとICの接着には「ACF(異方性導電フィルム)」を利用する。

1枚のウエハーから400万個のIC

 メモリ部分のリソグラフィには電子ビーム(EB)を用いた。採用した理由として(1)今後,さらに微細なトランジスタを容易に製造できる,(2)EBで製造したメモリは,400℃という高温条件でも高い信頼性を保てる,(3)ユニークなIDパターンをメモリに掘り込むのに,1回限りのマスクを必要としない,ことを上げた。EBに必要な装置は非常に高価なことで知られるが「今回は1枚のウエハーで400万個のICが取れる。これならEBのコストは問題にならない。ICを非常に小さくしたことで,デラックスなリソグラフィ技術がむしろ使いやすくなった」(日立製作所の宇佐美氏)。

 製造のプロセス技術にSOI基板を採用したのはICの周辺の寄生容量などからのアイソレーションを高めるためであるという。「ICの寸法を小さくするとICの周囲の寄生容量などによってラッチアップが起こりやすくなり,場合によっては逆の電圧がICに加わったりする。以前はこれを防ぐためにガード・リングをつけていたがICの寸法が大きくなってしまう問題があった。寸法を小さくするにはSOI基板の採用は必須だった」(宇佐美氏)。

12μm角のICも視野に

 日立製作所らは今後は,製造技術を65nmルール,さらには23nmルールまで微細化し,12μm角のICを作る計画である。「EBであれば,メモリ部分の微細化にも十分対応できる」(宇佐美氏)。

 課題は,製造技術そのものよりもリソグラフィ・パターンを処理するパソコンの能力にある。「非常に多数のパターンを連結する情報処理に時間がかかる。これが製造のスループットを決めることになる」(宇佐美氏)という。