PR
写真1●ベトインテリジェンスのグエン・ゴック・ベン社長
写真1●ベトインテリジェンスのグエン・ゴック・ベン社長

 日本に留学経験のあるベトナム人技術者が起業するケースは、連載第8回で紹介したランシステムだけではない。24歳のグエン・ゴック・ベン社長(写真1)が切り盛りするベトインテリジェンスも、日本を最大の顧客層にもつソフト開発会社だ。

 同社のビジネスの7割近くが日本向けである。05年7月の設立で、30人の技術者を抱え、レンタカーの予約システム開発や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトの構築といった実績がある。

 ベン社長自身に留学経験はない。それでも日本からの仕事を受注できるのは、同社取締役のファン・フン氏(25歳)がいるからだ。フン氏は現在、東京工業大学に留学中。ベトインテリジェンスの営業兼ブリッジSEとなり、日本の案件を受注する。フン氏が日本におけるベトナム人留学生の人脈を活用し、留学生がアルバイトする国内ソフト開発会社から仕事を回してもらったり、留学生OBから仕事を紹介してもらったりしている。

床が傾いた家屋から新築ビルに移転

写真2●ベトインテリジェンスの開発現場
写真2●ベトインテリジェンスの開発現場

 ベトインテリジェンスには、フン氏に勝るとも劣らない敏腕の“営業担当者”がほかにもいる。SNSの「mixi」だ。ベトインテリジェンスは、mixi上でシステム開発案件を募集している。フン氏は、「中国やインドよりも安価なコストを提示できるため、引き合いは多い」と明かす。これまでに平均して100万円規模の仕事を10件以上受注した。

 設立当初はフン氏とベトナムにおける情報共有や仕事の分担がうまくいかず、結局フン氏が一人で仕様作成から実装、テスト、納品までこなさなければならないこともあった。だが、案件の数をこなすにつれ、フン氏とベトナム拠点でのやり取りがスムーズにいくようになったという。

 つい数カ月前まで、ベトインテリジェンスのオフィスは民家を改造したたたずまいだった。床は傾き、坂道で仕事をしているような状況だったそうだ。だが、事業拡大に伴い、2006年11月には新築のビルに移転(写真2)。ベン社長は「立派な職場環境を確保できた」と満足げだ。

 そもそもベン社長が起業したのは、以前に勤めていたシステム・インテグレータの人事評価体制に不満があったため。大学で情報処理を学び卒業後にITエリートを目指し大手インテグレータに就職したまでは、順風満帆だったが、半年後に突然退職を決めた。ベン社長は多くを語ろうとしないが、「技術者の努力や成果を正当に評価する会社を作りたい」と決意を述べる。