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 かつて、パソコンの誤変換だけを紹介するサイトがかなりの人気を博した時期があったが、みなさんは覚えているだろうか? 最近ではあまり話題にのぼることがなくなっていたので、すっかり下火になっているものと思っていたが、最近検索してみたところ、いまでも誤変換サイトは一定の人気を保ち続け、誤変換だけを集めた書籍も刊行されているようだ。

 さらには、「日本漢字能力検定」、通称「漢検」を主催する財団法人日本漢字能力検定協会は、いまでも定期的に「変“漢”ミスコンテスト」というコンテストを実施しており、すっかり人気も定着しているらしい。

 この誤変換。ワープロソフトで文章を作成する時ばかりではなく、検索ボックスにキーワードを入力する際にも、しばしば出くわすことがある。例えば、「無線LAN内蔵パソコン」で検索したくて入力したのに、「内蔵」が「内臓」になってしまったり、それこそ「誤変換」というキーワード自体が「御返還」になってしまったりする。

 2006年6月21・22日に開催されたアウンコンサルティング主催のフォーラムでも、オーバーチュアの杉原氏が、「iPod」や「ユニクロ」といったキーワードには、50種類以上の表記の揺れがあることを発表した。当然その中には、うろ覚えによる入力間違いやミスタイプだけではなく、誤変換による表記の揺れも存在する。

 そこで、オーバーチュアが提供する「キーワードアドバイスツール」を使って、いくつかの検索キーワードについて誤変換による検索数を調べてみた。

「無線 lan 内臓 パソコン」81回(「無線 lan 内蔵 パソコン」69回)

「mp3 返還」36回(「mp3 変換」27,632回)

「湯に黒」1,554回(「ユニクロ」822,533回)

「海外 旅行 保健」347回(「海外 旅行 保険」39,437回)

「形態 電話」236回(「携帯 電話」214,624回)

「故人 情報 保護 法」35回(「個人 情報 保護 法」397回)

「天職 サイト」27回(「転職 サイト」33,323回)

「カー 洋品」26回(「カー 用品」29,707回)

「修飾 活動」24回(「就職 活動」61,907回)

「買わせ レート」13回(「為替 レート」140,552回)

「覇権 会社」12回(「派遣 会社」63,196回)

「商圏 会社」11回(「証券 会社」61,224回)

「痛心 販売」10回(「通信 販売」335,403回)

※回数は2006年5月の月間検索数。( )内は正規表現

 自身の経験から言って、誤変換で検索したと気付いた瞬間、すぐにウェブブラウザのバックボタンで改めて検索画面に戻って検索を行う傾向がある。そのため、検索連動型広告でこうした誤変換キーワードに入札したとしても、決してコンバージョンが高い確度で得られるとは言い難い。しかし、そもそも誤変換キーワードは検索数がさほど多くは無いし、検索連動型広告はクリックされなければコストが発生しないシステムなのだから、入札をして損になるというケースは考えづらいだろう。だとしたら、「さまざまな手を尽くして、少しでもリーチを広げたい」という企業にとって決して無意味なことだとは言えないかもしれない。

 かなり昔のことになるが、ワープロが普及しはじめた当時、ワープロの使い過ぎで正しい漢字が分からなくなることを「ワープロ馬鹿症候群」と呼ぶ、という話を聞いた覚えがある。例えば、ワープロで「あらり」を変換してみても、「粗利」なのか「荒利」なのか正しい漢字が分からないので結局は辞書で調べないといけない、といった具合の症状だ。

 現代人はパソコンへの依存率が高く、すでに手書きによる文章作成よりも、パソコンのワープロソフトを使った文章作成の機会が大幅に増加しているものと思われる。そう考えてみると、誤変換だと気付かないで検索するケースも往々にして起こりうるのではないだろうか。

 例えば、先に挙げた「内蔵」と「内臓」などは、字面も似ていることなどもあり、改めて正しい検索キーワードで入力すべきだということに気付かない可能性も高い。そのため、こうした誤変換キーワードへの入札も、もしかしたらコンバージョンの微増には影響するかもしれない。しかも、上記の誤変換キーワードへの入札状況をオーバーチュアが提供する「入札価格チェックツール」を使って調べてみると、正規表現のキーワードよりも競合する入札社数は少なく、入札金額も大幅に安価であるケースばかりだ。

 なお、もし誤変換キーワードを自分で探したいと思うのであれば、誤変換を調べる際の日本語変換ソフトは市販されている専用ソフトを使うのではなく、パソコンの購入時点で搭載されている変換ソフトを使って調べることをおすすめする。なぜなら、ユーザーの大多数は多少変換レベルが低くとも、わざわざ市販されている専用ソフトを購入する確率は低いため、標準設定のパソコンを利用した方が現実に即した誤変換キーワードが探し出せるはずだからだ。

 しかし、この誤変換キーワードの入札については、注意も必要だ。オーバーチュアには表記の揺れを認識するためのマッチドライバーという機能がある。例えば、「保険 会社」と「保健 会社」は同じ検索キーワードとして認識されており、こうした機能は間違えやすい多くのキーワードに適用されている。こうしたマッチドライバーの有無については、「キーワードアドバイスツール」を使って調べてみるといいだろう。さきほどの「保健 会社」を検索ボックスに入力しても、「保険 会社」の検索数だけが表示される。こうした場合は、マッチドライバーが働いていると考えて間違いはないだろう。そして、このマッチドライバー機能は、頻繁に更新されるので、それまでマッチドライバーが働いていなかったキーワードが、ある日突然マッチドライバーがかかっているということもあるので、その点はご理解いただきたい。

(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 市川伸一)







 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。