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 RMONは,Remote network MONitoringを略したもので,遠隔地にあるネットワークをモニターする目的で開発された技術です。企業の本社内に置かれた管理センターから各拠点のネットワークを管理する場合や,管理サービス会社が顧客サイトのネットワークを管理する場合などでの使用を想定して開発されました。

RMONの歴史と実装形態

 RMONは,一般に「プローブ」と呼ぶ装置に実装され,この装置を管理対象のネットワークに直接接続してモニターします。最初のRMONは,1991年にRFC1271として定義されました。これは,イーサネットをモニターするための基本的なRMONの仕様です。当時のイーサネットは,メディア(ケーブル)共有型であったため,RMONを使ったモニターも専用のRMONプローブをセグメント単位に接続するという形態をとっていました。

 このようなメディア共有型ネットワークのモニターでは,RMONプローブをセグメント上のどこに設置してもネットワーク負荷やエラー発生率,接続ノード数などの情報をまとめてモニターすることが可能です。しかし,現在ではLANスイッチによるネットワークが主流であるため,情報はLANスイッチ上でモニターする必要があります。このため,RMONプローブ機能はLANスイッチが内蔵する形態か,LANスイッチのミラー・ポートに接続するサーバーやワークステーション上のソフトウエアとして実現されています(図4)。

図4●RMONプローブとは
図4●RMONプローブとは  [画像のクリックで拡大表示]

RMONの設計思想

 RMONは,遠隔値地のネットワークをモニターするために,以下のような思想で設計されています。

・オフライン動作
 管理ステーションが常にリモート・モニター・デバイス(プローブ)と通信できるとは限りません。例えば,監視対象のネットワークがWAN経由やダイアルアップ接続経由の場合など,通信コストを抑える必要があるケースです。あるいは,何らかの原因により,管理ステーションとプローブ間の通信がうまくいかなくなるケースもあるでしょう。こうした事態に対応するため,RMONはオフラインでも動作するように設計されています。この点においてRMONは,ほかのトラフィック管理技術(sFlow,NetFlow)より優れています。

・予防的なモニター
 モニターしているプローブ上に十分リソースがあれば,ネットワークを連続的に記録したり診断することが可能です。こうしたモニターにより,障害発生の予兆を管理ステーションに通知可能ですし,障害時の履歴を保存しておくことができます。保存した履歴情報は,管理ステーション側で再生し,問題の原因を診断するために役に立ちます。

・問題検出とレポート
 モニターでは,特定の状況(とくにエラーの発生状況)をピンポイントで検出するように設定できます。また,連続してそうした状況をチェックすることができます。そして,設定した状況が発生したとき,イベントを記録してさまざまな方法で管理ステーションに通知します。

・付加価値のあるモニター・データ
 プローブは,ネットワーク管理機能の専用資源であり,ネットワーク上のモニターしたい部分に直接接続されるため,収集したデータから付加価値のあるデータを提供することが可能です。例えば,管理ステーションは「最もネットワークに負荷を与えたりエラーを発生させているホストを突き止める」といった問題を解決するために必要な情報を,プローブから得ることができます。

・複数マネージャ対応
 企業内ネットワークには,組織別や機能別(エンジニアリング,運用管理など),目的別(障害復旧対策など)に複数の管理ステーションを設置できます。プローブはこうした複数の管理ステーションからの同時利用に対応する必要があります。

山居 正幸

(有)トゥワイズ・ラボ代表取締役
1961年北海道生まれ。北見工業大学卒業後,日立エンジニアリング,アスキー,ソリトンシステムズを経て,1999年7月トゥワイズ・ラボを設立。現在は,SNMP関連の管理ソフトや安価なWindows版侵入検知ソフトの開発を行っている。TCP/IPやSNMPに関連する著書もある。趣味はサッカー観戦で,浦和レッズを家族ぐるみで応援している。