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 「事業は最初は何でもいいんです。何をやるかは,後で決めればいいんですよ。それよりも,成功することへの思いの強さと諦めないことが重要なんです」。USENの宇野康秀社長に,事業や仕事で成功する人の共通点を聞いたら,この答えが返ってきました。

 正直,意外でした。と言うのも宇野社長が光ファイバー・サービスを開始したときは,ブロードバンドが必要だ,ぜひ普及させたいと強調していたからです。そのために大変な苦労をして父の代に違法に配線していたケーブルを1本1本調査し,電柱の保有者などと契約し直しました。また,多額の投資をしてブロードバンド放送「GyaO」を始めるなど,事業内容に相当な思い入れを持っていたように見えていたからです。その宇野社長が,「何の事業でもいい」と言うのですから腑に落ちません。

 そこでさらに聞いてみると,「最初は何の事業でもよいけれど,その事業で失敗したり成功したりしていくうちに面白味を見つけ,社会のためにこうしたいという思いが出て,やりたい事業が見えてくる」と言うのです。何でもいいから事業をやってみることが重要で,動き出せばやりたいことが見えてくる。宇野社長は試行錯誤したうえで,光ファイバーやブロードバンド放送などの打ち込める事業を見つけたというわけです。

 この話を宇野社長に聞いたのは,ブロードバンド放送「GyaO」のインタビュー番組『リアルビジネス』を書籍化した単行本『USEN宇野康秀×8人の若手経営者のリアルビジネス』(写真)を編集したことがきっかけです。この本では,サイバーエージェントの藤田晋社長,サイバードホールディングスの堀主和ロバート グループCEO,GMOインターネットの熊谷正寿社長,NTTドコモの夏野剛 執行役員など30代,40代の若手経営者に宇野社長がインタビューし,仕事の進め方,失敗の生かし方,ビジネスのコツなどを聞き出しています。

 この本に登場した経営者を見ると,たしかに同じ事業をずっとやられていた方はほとんどいません。例えば,ケータイ・コンテンツを手がけるサイバードの堀CEOが最初に手がけた会社はゲームの輸出会社でした。出資者を探すために『会社四季報』に掲載されている会社に片っ端から電話をかけまくり,「すいません,23億円ください」と依頼したそうです。結局この会社ではうまく行かなかったのですが,「ゾンビのように立ち上がり」(堀CEO談),サイバードを設立しました。

 NTTドコモの夏野剛執行役員は,東京ガスの社員,倒産した無料プロバイダ「ハイパーネット」の副社長を経てからNTTドコモに中途入社しています。「私の人生の信条は『一寸先は闇』。ケータイの2年先も,人生も,家庭も一寸先は闇。この1年を充実するように,悔いのないようにがんばろうとだけ思っています」と語っています。
 
 IT企業ではありませんが,「牛角」などを展開するレインズインターナショナルの西山知義社長も最初は不動産会社を経営。「ピザーラ」「柿家鮨」などを手がけるフォーシーズの淺野秀則社長は10回以上も職業や事業内容を変えています。

 一見すると華やかに見える若手起業家には,失敗しても諦めずに別の事業で再挑戦する,これぞという事業では決して諦めないというしぶとさがあります。「やらない理由」を考えるよりも,「事業をやり抜くことに力を注ぐ」という信条に基づく若手経営者たちの言葉は,経営者だけでなく会社員や技術者の方たちにも仕事のヒントになるかと思います。ぜひご一読ください。