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 米MicrosoftのChief Software ArchitectであるRay Ozzie氏は先日,インターネット界における最大かつ最新のライバルである米Googleを“モーニング・コール”と表現した。これは,Bill Gates氏が10年前にNetscapeに対する感情を表すのに始めて使った言葉の焼き直しだ。米Goldman Sachsがネバダ州ラスベガスで開催した投資家向けカンファレンスでこの言葉を使ったOzzie氏は,最近のMicrosoftによるオンライン活動における最大の擁護者である。

 Ozzie氏は,「Googleの成功--つまりインターネット検索サービスを,Webページに表示される小さなテキスト広告を燃料とする収入生成エンジンにうまく変えた--によって,当社は競争戦略を評価し直すことになった」と述べる。「この成功で,業界と当社の考え方は広告を収入源とみなす方向に一変した」(Ozzie氏)

 Ozzie氏が社内でいろいろ働きかけたにもかかわらず,Google勃興以降のMicrosoftは,オンライン業界で深みから抜け出せずにいる。その原因の一部は,Microsoftの怠慢にある。同社の最大事業である「Windows」「Office」「Windows Server」は古いタイプのソフトウエア製品で,Webベースのソフトウエア・サービスの危険性をなかなか理解できない支持派がしっかり守っている。Microsoftは,「Googleなどの企業とうまく戦うには,大成功した製品同士の“共食い”が避けられない」と恐れているのだ。

 Ozzie氏はWeb対応サービスの“膨大なビジネス・チャンス”について,「こうしたサービスのチャンスは,パソコンやWebから得られるものを上回る」と述べた。Microsoftは,その分け前にありつけるだろうか。表向きMicrosoftは補完的な戦略を推進し,「Windows Vista」「Office 2007」などの儲かる既存製品を販売し続けると同時に,「Windows Live」「Office Live」といった新たなオンライン・サービスを提供してきた。ただし,この種の取り組みの多くが,Googleの同様のサービスよりも優れていたのに市場では失敗した。

 モーニング・コールというOzzie氏の言葉が,なぜ重要なのだろうか。1つはっきりしていることがある。Microsoftは10年前,どうにかしてNetscapeからダウンを奪おうとしていた。そのためには,社内にあった「技術的および道義的に問題がある」との反対意見を押し切り,Windowsへの無分別なWebブラウザ同こんという手段も使った。その後,数え切れない独占禁止法違反にかかわる戦いで傷つき,現在のMicrosoftは大きな変化を望まなくなったようにみえる。そして現在。Microsoftは「Software plus Service」という,既存のソフトウエアをサービスで補完するという戦略を採っている。筆者はこれを,失敗だと考える。Microsoftはモーニング・コールで目が覚めたはずなのに,スヌーズ・ボタンを押してアラームを止め,まだベッドから出て来ないのだ。