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Peter Sondergaard氏_1  
Gartner社
Peter Sondergaard氏,
Senior Vice President,
Research Content

このところ再び、テクノロジーに対する関心が高まりつつある。Google社に対する一般の方の反応をご覧いただきたい。いわゆる「iPod世代」と呼ばれる若者達のテクノロジーに対する違和感の無さしかり、Web2.0が流行語にすらなっているのも、技術への関心の高まりを象徴している。

一方で、経済的な不確定要因にも注目が必要だ。

石油は、1バレル当たり90米ドルという日が来るかも知れないし、鳥インフルエンザや世界的なテロという脅威も存在する。

こうした不確定要因がありながらも、ビジネスは相変わらず成長を求められている。ビジネスの伸びを望まない人はいないだろうし、人々のモチベーションを高めるためにも、そしてITにとっても「ビジネスが伸びること」は好ましい。

2006年のIT予算は2.7%増、CIO任期は5年に

過去数年間、Gartner社ではCIOを対象に継続的な調査を実施しているが、2006年のIT予算は対前年比2.7%増を見込んでいる。この数字だけをとると、必ずしも大きく見えないが、同調査において、ビジネスにおけるITの重要性が、さらに高まる傾向も明らかになっている。ITの価値を十分に認識した経営者も増えている。

CIOおよびIT部門が主導権を持ちながら、ITを効率的に管理し、ITがビジネスに欠かせないことを証明してきたからこそ、ユーザー企業がその価値を認めるようになったといえる。そして現在ITに対する要求は、次の4つである。

  • 「 I T は企業の成長を下支えしなければならない 」
  • 「 I T は、顧客を獲得し、維持するために役立たなくてはならない 」
  • 「 I T は企業全体のコストを管理しなければならない 」
  • 「 I T は企業の競争力を高めなければならない 」
  • こうした期待にITが応えられれば、企業はIT投資額を増やすことになる。特に、市場の平均よりも高い成長が見込めると経営側が判断すれば、ITへの投資意欲はさらに高まる傾向にある。つまり、IT部門を効率よく運営するCIOには、より潤沢なリソースが与えられるのだ。一般に、CIOに任される予算の増加率は他の部門の平均に対して2倍と高い。加えてCIOには、計画を実行するまでに十分な時間も許される。2002年には平均2~3年だったCIOの任期が、現在は5年近くまで延びている。

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    「人」「プロセス」「テクノロジー」の3要素を軸に

    ITを語る上で「人」「プロセス」「テクノロジー」は常に重要な3要素となっているが、これまでは、「人」「プロセス」に比べて、「テクノロジー」ばかりが強調される傾向にあった。従って今日はまず、「人」の側面から言及していきたい。

    テクノロジー自体の変化や、テクノロジーの活用方法の変化は、テクノロジーに携わる「人」に必要とされるスキルすら変化させた。これまでずっと重要と見なされていたスキルがここにきて、不要になりつつある。市場におけるITスペシャリストの需要は、2010年まで毎年10%ずつ縮小していくだろう。これにいち早く気づいた賢い組織は、技術だけに特化した専門的なスキルではなく、幅広いビジネス・スキルの獲得へと重きを置くように方針転換を図っている。2010年までには、企業内IT組織の10人中6人がビジネス志向の役割を担うようになることだろう。

    今後必要になっていくのは、「プロセス」「情報」、そして「人間関係」に関するスキルである。

    次に「プロセス」だが、今回の調査でも、50%以上のCIOが「IT活用によるビジネス・プロセスの改善こそが最優先課題」と回答しているように、プロセス革新は競争に勝つための武器であり、ITの中心テーマだ。

    実行スピードの向上、サイクル・タイムの短縮、ビジネス・プロセスの加速--何年も前から話題に上っていたが、今まさに、プロセス革新が「リアルタイム・エンタープライズ」を実現する原動力として認知されるようになった。つまり、環境の変化をより早い時期に察知し、それに対してより迅速に反応することで競争上の優位性を実現することが鉄則といえる。

    テクノロジーは諸刃の剣、旧態依然の体質が危険要因

    さて、最後に三つ目の要素である「テクノロジー」に言及したい。

    私たちの調査によれば、ITエグゼクティブの半数が、「テクノロジー」とは変革を実現し、革新を刺激し、ビジネスに競争上の優位性をもたらすものであると認識している。しかし、同じITエグゼクティブ達が、テクノロジーこそ自分の直面する最大の課題であるとも答えている。

    いまや、テクノロジーは、多くのエンタープライズにとって諸刃の剣なのだ。

    ITエグゼクティブは、テクノロジーのもたらすメリットを予見しながらも、自分の組織の中で変革を実現・推進することに四苦八苦している。彼らが直面している最大の障壁とは、組織の中の古いシステムや古い考え方である。
    今、旧態依然とした体質という脅威から目を背けるのをやめて、真正面から対峙すべき時が来た。

    一部の組織では、かつて成功を支えたITシステムの規模と複雑さが、彼等の存続に対する最大の脅威にすらなっている。ITシステムを新たな需要に適合させられないビジネスは必ず失敗するからだ。

    テクノロジーのインパクトは、個々のビジネスだけでなく、産業全体を様変わりさせる。リテール・バンキングしかり、音楽配信しかり、テクノロジーが産業を変えた例は枚挙に暇がないし、今後も変えていくだろう。テクノロジーは、顧客の期待を変え、新しい世界を創造し続ける。

    そして、あなたはこの新しい世界で、決断を下さなければならない、しかも、今すぐに-。

    Peter Sondergaard 氏
    ガートナーのシニアバイスプレジデントとして全世界650名のアナリストをグローバル規模で統括。ハードウェア、半導体、ソフトウェア、通信、ITサービス、IT管理、クライアント セグメントなどを網羅するガートナーのリサーチ組織全体の管理ならびに方向性に関する責任を有する。

    本記事は2006年5月に、米国サンフランシスコにて米Gartner社が開催したシンポジウム(Gartner Symposium/ITxpo 2006) における講演内容を抜粋したものである。