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前々回の記事『運用の重要性を確認する』で挙げた3つの問題点。そのうちの2つ、「更新を考慮した設計」と「更新者のスキルレベル」への対処法を前回はお届けした。今回は最後に残った「運用時の検証」における具体的な方法について、いろいろな角度から検討してみたい。

検証は誰が行うのか?

ひとくちに検証といっても、誰が、どのようにおこなうかによって、それにかかる労力と効果はさまざまだ。では、実際に検証をおこなうのは、どのようなポジションの人だろうか。

  • 制作担当者(デザイン・コーディング担当など)
  • サイト運営・管理者(コンテンツオーナーなど)
  • 広報担当者
  • 検証サービスをおこなう企業

概ね、以上のような人々が想定される。さっそく、それぞれがおこなうべき検証について考えてみよう。

制作担当者のおこなうべき検証

自らの制作した内容の検証。これは非常に重要であり、可能な限りはこの段階で問題点を最小にしておきたい。制作担当者であれば直接修正を反映できるのだから、だれより素早い対応ができるはずだ。とはいうものの、公開が差し迫っていたり、自分の間違いには気づきにくかったり、となかなか独力での検証はむずかしいかもしれない。
そこで、制作担当者にはツールを用いたチェックをすることをお勧めしたい。特に文法的な妥当性での検証は機械的におこなうべきもののひとつである。ツールといってもいろいろあるわけだが、やはり一番代表的なのは、World Wide Web Consortium(W3C)によるThe W3C Markup Validation Serviceであろう。
文法をはじめ、技術的な内容については、運営・管理者や広報担当者では通常なかなかチェックできない項目である為、制作担当者による十分な検証は必須だ。

サイト運営・管理者のおこなうべき検証

Webサイトの運営・管理者という立場からは、サイトが正常に動作しているかという意味でも、非常に多岐に渡る検証が求められる。その中でも、運用時において考えられることといえば、意図したとおりにページ(サイト)が更新されたかどうか、の確認が挙げられる。簡単な具体例をひとつ挙げると、更新したリンク先が正しいかどうか、この確認は運営・管理者の責任においておこなわれるべきであろう。
もちろん、制作担当者も更新箇所が指示通りにリンクされていることを確かめる必要はある。しかしながら、その先の内容が本当に正しいかどうかは必ずしも制作担当者がわかるとは限らないのだ。
リンク先の間違いというのは、すべてのユーザーにとって、想定されるリソースへのアクセスができなくなるという、ひとつの重要なアクセシビリティ問題である、と認識していただきたい。

広報担当者のおこなうべき検証

企業・団体の広報担当者はWebサイトに原稿を提供する代表的な職種のひとつといえる。Webサイトでの情報発信の重要性が高まってきていることは、この記事をご覧になっている方であれば、よく理解できることであろう。
そのような流れの中、誤った情報の発信という問題も同様に増えてきている。そこで、Webにおける情報の更新の際にも、広報担当者は原稿レベルのチェック、そしてページとして公開されたものの検証、これを確実におこなわなければならない。特に金額などの重大な情報の間違いは、場合によっては非常に大きな損害に繋がる、ということは既に皆様ご存知のとおりである。
このような、誤った情報の発信により、正しい情報にアクセスできないこともまた、アクセシビリティの問題なのだ。

検証サービスの利用価値

最後に、アクセシビリティの検証サービスのような、いわゆる「プロ」がおこなう検証についても、少し触れておきたい。
本来であれば、ここまでに挙げてきた直接そのWebサイトに関わる人々の手によって、アクセシブルなサイトが運用されることが望ましいわけであり、そのようなサービスに携わる筆者であっても、すべてのサイトがアクセシブルになったという理由でサービスの需要がなくなるのであれば、それは歓迎すべきことだと思っている。とはいえ、なかなかそうもいかないのが現実である。それは何故だろうか? 以下にその理由を2つ挙げてみた。

  • 一定以上の技術に関する知識が必要である
  • 企業・団体内にWebサイトに携わるリソースが不足している

どちらも将来的には解消され得る問題である、と筆者は考えている。前者であれば、Webサイトを制作する為のオーサリングツールがアクセシブルなコンテンツを生成できるように進化すべきであるし、後者については、今後Webの重要性がさらに増すにつれて状況も変化していくと考えられるからである。
しかし、残念ながら、まだどちらもその段階には到達していないのである。そういう意味で、それまでの間は、知識に不安があったり、リソースが不足している場合に「検証サービス」のような手段を使いながら、アクセシブルなサイトを運用していく、というのもひとつの方法といえるだろう。

ということで、今回はそれぞれの立場において、運用時にどのような検証をおこなうべきかについてを考えてきた。
いずれにしてもいえることは、Webサイトは構築しただけで終わり、というわけではなくて、むしろ運用がはじまってからが重要である、ということである。コスト面で見れば、一般にWebサイトの新規構築やリニューアルに投資する額の方が、運用にかけるコストよりも大きいことが多く、その為もあって構築時にばかり目が行きがちになるかもしれない。だが、実際にサイトをユーザーが訪れるのは、運用が始まってからである、ということを忘れず、ユーザーが必要な情報を取得できるアクセシブルなサイト運用を目指したいものだ。