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 正解は,B,C,Dです。

 今回の問題は,新BSCI(Building Scalable Cisco Internetworks)試験で新たに追加されたマルチキャストからの出題です。

 マルチキャストはグループアドレス宛にデータを送信し,グループのメンバだけが受信する通信方式で,映像の同時配信などに使用されています。新バージョンのBSCIでは,IPマルチキャストの用語とPIM,IGMPの基本的な動作を理解する必要があります。

■IPマルチキャストで使用するIPアドレス

 まずはIPマルチキャストで使用されるIPアドレスの確認です。

 IPマルチキャストではクラスD(224.0.0.0~239.255.255.255)のIPアドレスが割り当てられており,マルチキャストトラフィックの送信に使用されています。

 239.0.0.1~239.255.255.255はプライベートIPアドレスと同様,管理者が自由に使用でき,それ以外の範囲はグローバルIPアドレスと同様,許可なく使うことはできません。

 また,224.0.0.1~224.0.0.255はリンクローカルアドレスとして,同一セグメント通信専用で,ルーティングプロトコルのネイバー検出や,後ほどご紹介するIGMPやPIMなどで使用されます。

■IPマルチキャストからMACアドレスへのマッピング

 LAN環境では,同一LAN上に複数の端末が存在するため,グループのメンバだけがデータを受信するよう,IPマルチキャストアドレスをMACアドレスにマッピングします。

 マッピングは,MACアドレス48bitのうち,先頭25bitを「0100.5E(24bit)」+25bit目を「0」で固定し,残りの23bitにIPマルチキャストアドレスの下位をマッピングします。

 今回の問題の選択肢Aに基づいた,IPマルチキャストアドレスからMACアドレスへのマッピングを図1に示します。

図1●IPマルチキャストアドレスからMACアドレスへのマッピング

 25bit目は「0」で固定されているため,25bit目が「1」となるAは不正解です。

■IPマルチキャスト転送のしくみ

 続いて,IPマルチキャストトラフィックの転送について見ていきます。

 ユニキャストでは宛先IPアドレスに向けてルーティングすることで宛先まで転送できますが,マルチキャストでは宛先のIPアドレスがグループアドレスとなるため,宛先を見てもメンバに届けることはできません。

 このため,マルチキャストではマルチキャストルーティングプロトコルを使用し,グループメンバの存在に基づいた転送が行われます。

 まず関連する用語について,図2で確認しましょう

図2●マルチキャストの用語

 (1)の送信元はソースとも呼ばれ,マルチキャストの配信を行うサーバなどです。(2)の受信者はレシーバとも呼ばれ,グループのメンバとしてマルチキャストの受信を行う端末です。グループに加入・脱退する際には,後ほどご紹介するIGMPを使用します。

 (3)の非受信者はグループに加入せず,マルチキャストを受信しない端末です。(4)のIGMPは,同一セグメントの受信者とマルチキャストルータ(マルチキャストルーティングを行うルータ)間で,グループへの参加や脱退をコントロールするプロトコルです。

 (5)のマルチキャストルーティングプロトコルは,マルチキャストを転送するルータ間で,送信元と受信者の存在に基づいてツリーを形成し(RPFチェックという機能によりループは防止されます),マルチキャストを転送する専用のルーティングプロトコルです。シスコルータでは一般的にPIMを使用します。

 PIMには送信元配送ツリーのみを使用するPIM_DMと,共有配送ツリーを併用するPIM_SMがあります。動作の違いについて以下で詳しく見ていきましょう。

■PIM_DM(送信元配送ツリーを使用)の動作

 まずPIM_DM(Dense Mode)の動作から見ていきます。Denseとは濃密という意味で,受信者が密集しているLAN環境で使用します。動作は図3の通りです。

図3●PIM_DMの動作

 送信元を基準としたツリーを作成し,いったん送信元からすべてのパスにマルチキャストを送信して,後ほどpruneメッセージによって不要なパスを取り除く動作です。

 Pruneメッセージを受け取っても,3分後には送信が再開されるため,WAN環境には向きません。

■PIM_SMの動作(送信元配送ツリー+共有配送ツリーを使用)

 続いてPIM_SM(Sparse Mode)の動作です。Sparseは希薄という意味で,受信者が散在している環境で使用されます。動作は図4の通りです。

図4●PIM_SMの動作

 ネットワークにRP(ランデブーポイント)という共有の問い合わせ先をあらかじめ決定し,送信元から送信されたマルチキャストは送信元配送ツリーによりRPに転送されます(RPはスタティックに設定することも,自動選出させることもできます)。

 PIM_SMでは受信者から,IGMPによりグループ参加要求を受け取ってはじめて,RPから受信者までの共有配送ツリーが形成されます。明示的な要求があるまで,RPから先のパスは存在しないため,不要なフラッディング(データを洪水のように流すこと)が行われず,WAN環境でも使用することができます。

 また,シスコルータではPIMのSparse-Denseモードがサポートされており,このモードではRPが存在する場合はSparseモードで,存在しない場合はDenseモードで動作することも覚えておきましょう。よって,Bは正解です。

■IGMPの有効化

 最後に,ローカルセグメントのグループメンバを管理するIGMPについて確認します(今回は一般的に使用されるVersion2を対象にします)。

 IGMPはマルチキャストルータが受信者からのIGMP参加要求(レポートとも言います)を受け付け,グループメンバの存在を確認するプロトコルです。ルータでIGMPを有効化するには,インターフェイスでPIMを有効にする必要があります。

 コマンドはRouter(config-if)# ip pim dense-mode / sparse-mode / sparse-dense-modeです。よってCは正解です。

■IGMP代表クエリア

 LANセグメントにおいて,マルチキャストルータは受信者が存在していることを確認するため,定期的にIGMPクエリを送信します。クエリに対して応答がない場合,マルチキャストの配信を停止します。

 定期的な送信のほか,受信者からの脱退レポートを受信した場合も,同じLANセグメント上に他の受信者が存在する可能性があるため,クエリが送信されます(IGMPv1には受信者の脱退レポート自体が用意されていません)。

 動作は図5の通りです。

図5●IGMP代表クエリア

 図5のように,同一LANセグメント上に複数のマルチキャストルータが存在する場合,IGMPはネットワークに1台の代表クエリアを選出し,クエリは代表クエリアからのみ送信されます。

 代表クエリアになるルータは,そのセグメントで最も小さいIPアドレスを持つルータです。よってDは正解です。