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日立ソフトウェアエンジニアリング
セキュリティサービス本部
本部長
中村 輝雄

これまで2回にわたり考えてきた,開発環境と仮想化技術の関係。日立ソフトでは過去1年間,開発環境に仮想化技術を適用し,そのメリットやデメリットを検証してきた。社員,つまりユーザーの声を一部見せてもらった。(ITpro)



 当社日立ソフトでは,仮想化技術を適用した開発環境「開発サーバホスティングサービス」を稼働させています。2007年3月の時点で,21のプロジェクト(仮想マシンの数は40個)がこのサービスを使って,お客様に向けたシステムを構築したり,テストを実施したりしています。

 昨年(2006年)12月の時点では,開発サーバホスティングサービスを利用している,あるいは利用したのは累計で50プロジェクトでした。その時,社員に開発サーバホスティングサービスの使い勝手についてアンケート調査を実施しました。連載の最終回である今回は,ユーザー,つまり“お客様”である当社社員による,開発サーバホスティングサービスへの「生の声」を紹介しましょう。

開発やテスト以外にも広がる用途

 社員の声を見ると,開発サーバホスティングサービスの主な用途は次のようなものでした。

(1)お客様のアプリケーション開発作業用,自社パッケージの開発作業用
(2)開発作業に必要なソースコードなどの共有サーバー
(3)設計部署におけるテスト作業用
(4)品質保証部における検証作業用
(5)お客様への保守対応や障害が発生したときの検証用(本番稼働後の案件)

 アンケートを見てみると,このような一般的な開発・テストに限らず用途が広がっていることに筆者は驚きました。

(6)これからシステム構築で利用する他社製品の評価用
(7)お客様にお見せするデモ環境の構築用

 内部統制ツールの評価,メール・サーバーやプロキシ・サーバーの動作確認に開発サーバホスティングサービスを使っていたようです。また,システム構成の検証といったインフラ設計の評価に使っているプロジェクトもありました。

 特に(6)や(7)といった用途は,従来はサーバー購入費の予算化が難しかったケースです。こうした「ちょっと使いたい」というニーズに応じられるようになったのは,開発サーバホスティングサービスが柔軟にVM(仮想マシン)を“切り売り”できる構造を持っているからこそ,と言えるでしょう。

 筆者は開発サーバホスティングサービスがなぜ(6)や(7)といった用途にも使われるようになったのか,その経緯や背景を調べてみました。

 一つは,「新規にサーバーを購入する予算が社内審査に通らなかったため,開発サーバホスティングサービスを使った」ことでした。「新規に開発サーバーが買えなかった」。「最新の64ビット・マシンを用意したかったが買えなかった」。「テスト用サーバーを予算化したかったが,それができなかった」。具体的にはこんな声が社員から挙がってきました。当社は新規サーバーの購入を制限していますので,開発サーバホスティングサービスが結果としてこうした細かなニーズをすくい上げたことになります。

 もう一つは,「プロジェクトの状況が変化する中,柔軟に使える環境は開発サーバホスティングサービスしかなかった」ということでした。「開発作業で利用していたサーバーが急きょ使えなくなったので利用した」。「プロジェクトの開発項目が増えメンバーを増員したが,使用可能なPCサーバーがなかったので使った」。このような理由を挙げるプロジェクトがありました。また,「Windows Server 2003やミドルウエアのライセンス数が足りなくなったので開発サーバホスティングサービスを利用した」という声は注目に値します。

 実際に開発サーバホスティングサービスを利用したチームからは,仮想化によるメリットを実感したという声が数多く寄せられました。「マシンを調達する手間が省けた」,「使いたいときに使える」,これらの結果として「開発コストを削減できた」といったものです。ほかにも「マシンの設置スペースが不要」,「障害対策など運用面を気にしなくても良い」という管理面のメリットを挙げるチームもありました。開発サーバホスティングサービスが備える“付加サービス”を評価するチームもありました。この付加サービスとは,VMのハードディスク・イメージ,つまりWindowsで言えばCドライブの内容をそっくりそのまま保管するものです。例えば,SQL Serverでの検証,Oracleでの検証といったように,OSやミドルウエアの組み合わせごとに検証する作業で効果を発揮します。前検証した環境にすぐ戻せるので,エンジニアは「再インストールして前の環境を再構築する」といった時間がかかる上にむなしさが増す作業から解放されます。

 まだ開発サーバホスティングサービスを使ったことがないチームからも,期待の声をもらいました。「私のチームでは過去多数の開発用サーバーを所有してきて,維持管理が面倒になってきた。このため,開発サーバホスティングサービスを使ってサーバーを集約できないか検討している」。

 このようにメリットが数多くある開発サーバホスティングサービスですが,仮想化という仕組みを使っているがゆえのデメリットがあります。例えば,テープ・ドライブなど個々のプロジェクトで必要な機器は接続できない,プライベート・ネットワークが組めない,お客様と同一の環境にできない,といったことを社員から指摘されました。一部,運用上のポリシーとして不可能にしているものもありますが,少なくとも「管理機能がまだ不十分」という意見は,仮想化の課題を的確に突いたものと言えるでしょう。

 今後,仮想化がより市場に受け入れられていくためには,さらにきめ細やかな拡張が必要だと痛感しました。