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 米Gartner Groupが1月下旬に,ビジネス・インテリジェンス市場を分析した「Magic Quadrant for Business Intelligence Platforms, 1Q07(ビジネス・インテリジェンス・プラットフォームの魔法の四分円,1Q07)」というレポートを発表した。BI市場では現在,米Business Objectsがリーダーだが,同レポートでは「2012年までに,米Microsoftがリーダーになる」と予測している。

 Gartnerは2006年9月にも,「Magic Quadrant for Data Warehouse Database Management Systems, 2006(データ・ウエアハウスとデータ・マネジメント・システムにおける魔法の四分円)」という似たような名前のレポートを発表している(関連記事:BI市場で存在感を増す米Microsoft)。この2つのレポートは,タイトルだけでなく内容や取り上げられている製品も重複しているが,異なるものだと考えた方がいい。なぜなら,昨秋に発表されたレポートは,データウエアハウスの観点からBIを論じる傾向が強いのに対して,Gartnerが今回発表したレポートは「純粋な」BIを中心に論じる傾向が強いからだ。

 ちなみに昨秋発表されたデータウエアハウスに関するレポートはGartnerのWebサイトで,今回発表されたBIのレポートはBusiness ObjectsのWebサイトで閲覧できる。Gartnerのレポートを入手するには,通常数百ドルの費用がかかる。だが多くの場合,ベンダーが転載権を購入するので,インターネットの検索を工夫すると,自分の興味を刺激する様々なGartnerレポートの無料版を入手できることがよくある。BIレポートの分量は9ページに及ぶが,それほどBIの技術に詳しくなくても理解できる内容だ。忙しくて同レポートを正しく理解するのに必要な30分を割くことができない方のために,いくつかの要点のまとめを簡単に紹介しよう。

 Gartnerは最初に,「魔法の四分円」という方法論は,ある特定の時点における市場の状態をグラフィカルに表したものだ,と説明している。この方法論は,ベンダーを「リーダー」と「チャレンジャー」,「ニッチ・プレーヤー」,そして「ビジョナリー」の4つに分類する。この分類は,それぞれのレポートで説明されている基準に従ってGartnerが行うベンダーの評価を基に決定される。1月に発表されたBIの魔法の四分円の目的は,「ビジネス・インテリジェンス(BI)アプリケーションの開発を模索している組織が検討すべき主要なソフトウエア・ベンダーに関して,Gartnerの評価を一目で分かる方法で提示すること」である。これは言い換えると,危険を負担するのは買い手だということだ。つまり,特定のBI戦略に自分の運命を託す前に,ユーザーは市場や新しいトレンド,市場におけるベンダーの位置付けなどをよく理解しておく必要があるのだ。

 最新の魔法の四分円は,Business Objectsの市場のおけるリーダーとしての地位を踏まえて,同社を第一人者と評価している(同社は現在,BI収益で最大のシェアを誇っている)。この魔法の四分円では,Microsoftも独SAPとともに,「リーダー」ではなく「チャレンジャー」部門で高く評価されている。ただし「ビジョンを実行に移す能力」という基準におけるMicrosoftの評価は,「リーダー」部門に現在含まれている他のどのベンダーよりも高い。

 Gartnerの魔法の四分円は,Microsoftはより完全で統合されたビジョンを提供するという点で2006年に大きく飛躍したと指摘し,Microsoft Officeシステムと密接に連携したBIソリューションを提供する同社の能力が向上していることは,顧客に好意的に受け止められるだろうと予測している。

 さらに同レポートは,Microsoftは2012年までにBI市場のリーダーとみなされるようになるだろうと予測している。Microsoftが現在抱えている最大の弱点は,種々雑多な要素からなる環境で強力なソリューションを提供する能力に乏しいことだ,とGartnerは示唆する。個人的に筆者は,この意見には同意しかねる部分がある。なぜなら,SQL Server Analysis Servicesは,Microsoft以外の様々なバックエンドと統合するという点で,素晴らしい仕事をしているからだ。だがいずれにせよ,自社のインフラストラクチャの大部分をMicrosoftのテクノロジに依存する企業に対するMicrosoftのBI戦略には,いくつかの欠点や弱点がある,とGartnerは報告しているのである。

 Gartnerのレポートは,2つの重要な市場トレンドを論じている。第一に,同レポートは単にレポートと測定結果をエンドユーザーに伝えるだけに留まらず,「プロセス駆動型と戦略駆動型のBIビジョン」というコンセプトに取り組んでいる。

 プロセス駆動型と戦略駆動型のBIは,ビジネス・プロセスやアプリケーションのワークフローに,BIテクノロジを直接埋め込むことを目的にしている。言い換えると,BIの定義は人によって様々で,何がBIで何がBIでないのかの境界線は,これからもあいまいであり続ける,ということだ。自社のBI製品をOfficeシステムや他の開発テクノロジに密接に組み入れるMicrosoftの能力は,恐らくこうしたトレンドから恩恵を受けられるだろう。

 第二に,Microsoftや米Oracle,SAPといった巨大なアプリケーションやソフトウエアのISV数社が,以前よりもBI市場に力を入れている,とGartnerは指摘している。こうした変化を背景に,米IBMや米Hewlett-Packard,米Sun Micro Systemsといった他の主要なベンダーは,BI市場での存在感を強くする道を選択するだろう,とGartnerは示唆する。BIがもっと普及するにつれて,私たちはBI市場におけるさらなる整理統合を目の当たりにするだろう。この整理統合によって,これまで「専業の」BIベンダーが享受してきた優位性は弱まるだろう,とGartnerは予測している。

 議論の余地はあるだろうが,たとえアナリストによる専門的なレポートに目を通したことがなくても,BI市場の動きを常に追っている人にとって,これらのトレンドはどれも当たり前のことなのではないだろうか。だがそれでも,短期,中期,長期向けのBI戦略を練っているのであれば,これらのトレンドを認識しておくことは重要だ。この魔法のように面白いレポートの全文に目を通すことを,筆者はお勧めする。