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フリー・エンジニア
高橋隆雄 フリー・エンジニア
高橋隆雄

 Asteriskと携帯電話を組み合わせることで,便利な使い方ができる。加入電話網やIP電話網からの外線着信を,電話番号に関係なくすべて携帯電話側に転送するなどの使い方だ。さらに携帯電話事業者の定額サービスを活用すれば,転送区間の通話料を定額にすることも可能だ。Asteriskと携帯電話を接続する機能は開発途上だが,筆者が実際に試した例を基に現段階で分かっていることをリポートする。

 前回はAsterisk 1.4の機能について紹介した(第17回の記事)。今回はAsteriskの将来について解説することにしよう。将来といっても遠い未来の話ではなく,おそらくは次期メジャー・バージョンで取り入れられるか,もしくは現バージョンに途中から取り入れられるかもしれない機能だ。

・携帯電話の定額サービスを使って内線代替

 「Asterisk」という名称の由来として,よく言われているのがUNIX系OSの正規表現の“*”である。これはワイルド・カードの意味であり,「何でも」を表す。このため,何とでもつなごうというのがAsteriskのポリシーであり,事実,多くの機器と接続できるのがAsteriskの特徴の一つとなっている。

 これまでのバージョン(~1.4まで)のAsteriskは,すでに複数種類の通信回線との接続を実現しているが,現在開発中のアプローチとして面白いのが携帯電話との接続だ。

 携帯電話との接続と聞くと疑問を持たれるかもしれない。携帯電話に電話をしたければ,普通にダイヤルすればいいではないかと。実はここで言う携帯電話との接続とは,携帯電話に対して電話をかけるのではなく,携帯電話網にAsteriskを接続する方法のことである。簡単に言うと図1のようにAsteriskに携帯電話機を接続し,この携帯電話機を介してAsteriskと携帯電話網を接続するのだ。

図1●携帯電話機とAsteriskを接続する
図1●携帯電話機とAsteriskを接続する

 こんな接続をする必要性,あるいはメリットがどこにあるのか?という疑問を持つ方もいるだろう。普段我々はあまり意識することなく携帯電話を使用しているが,携帯電話網と加入電話網(PSTN)は,全くの別物である。このため携帯電話網と加入電話網間の通話は,互いの網間を通っていることになる。ちょっと料金体系などを注意して見ると分かるのだが,加入電話と携帯電話を比べると,ある程度の距離以上になると携帯電話同士で通話した方が加入電話網より安いこともある。

 さらには携帯電話事業者同士の競争によって,時間制限はあるものの定額料金で通話できるサービスが存在している。例えばソフトバンクモバイルのホワイトプランは月額980円で午後9時から午前1時までを除き,同社の携帯電話同士は話し放題だ。こうした定額制のサービスを提供している携帯電話事業者の端末をAsteriskに収容することができれば,内線電話の代わりに携帯電話事業者の網を利用できてしまうというわけだ。

 ただし問題はこれら携帯電話事業者は外部に対して自社のネットワークを直接接続させる手段を(一般には)提供していない。となれば各事業者の携帯電話機をAsteriskに接続するということになるのである。

 この方法を使うと,もう一つ便利なのが図2。例えば企業や家庭内などでAsteriskを導入し,加入電話網など複数の電話サービスに接続しているとしよう。そうすると,自分が所有しているいくつかの電話番号に対して,電話がかかってくるわけだが,それをいちいち別の電話機で取る必要がなくなる。いったんAsteriskですべての電話サービスを受けることで,普段使用する電話機1台で応答できる。かなり便利な使い方と言える。

図2●Asteriskですべての電話サービスを受けることが可能。普段使用する電話機一つで応答できる
図2●Asteriskですべての電話サービスを受けることが可能。普段使用する電話機一つで応答できる

 図2のように加入電話網やIP電話網との接続はこれまでも可能だったわけだが,携帯電話網との接続をサポートすることによって,携帯電話への着信も1台の電話機で受けることができるというわけだ。Asteriskを介在させることによって,Asteriskで実現可能な音声メールや音声会議などの機能を携帯電話に対しても使うことができるというわけなのである。