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 2007年4月、山口県美祢(みね)市に初犯の受刑者を収容する「美祢社会復帰促進センター」という名称の刑務所が新設され、5月から受刑者を受け入れる。無線LANによる位置検出技術を使い、受刑者や刑務官などの位置をリアルタイムに把握するシステムを導入する。美祢社会復帰促進センターは、法務省が民間の資金や経営能力を活用する「PFI」(民間資金を活用した社会資本整備)の手法を用いて設置・運営する最初の刑務所である。無線LANタグを使った位置検知システムを導入し、所内の警備を効率的かつ確実にする。

 美祢社会復帰促進センター(以下、促進センター)は、男女それぞれ500人、合計1000人の初犯受刑者を収容する刑務所。PFI手法により、セコムを中心とした民間企業グループが落札し、建設から運営までを担う。促進センターの要求水準の一つとして、受刑者などの位置情報をリアルタイムで把握するシステムが求められていた。

 位置情報把握システムの構築を担当するのは日立製作所。無線LAN設備と無線LANタグを使って位置情報を検出する同社のシステム「AirLocationII」をベースに構築する。基本的な仕組みは三辺測量によるもので、無線LANタグが発射した電波を周囲の無線LANアンテナが読み取り、その到達時間差から位置を推定する。

 位置情報を検知するエリアは、所内で受刑者が移動できる範囲である「保安区域」。エリア内には約500台の無線LANアンテナを取り付ける。無線LANタグは、「IEEE 802.11b」に対応する厚さ9mmのクレジットカード大である(写真1)。1300個以上を用意し、1000人の受刑者に加えて保安区域に立ち入る刑務官や職員、来訪者などに装着する。受刑者は、勝手に取り外せない特殊なピンを使って服に無線LANタグを取り付ける。この仕組みで保安区域内のすべての人物の位置を特定する(図1)。

写真1 保安区域への入場者が付ける無線LANタグ
受刑者などの服に無線LANタグを装着し、位置を常時監視する。クレジットカード大で厚さは9mm。

図1 位置情報把握システムの構成と監視の仕組み
3種類の位置検知手法を組み合わせ、中央警備室の画面上に位置情報を2秒間隔でリアルタイム表示する。【クリックすると拡大表示】


本記事は日経RFIDテクノロジ2006年12月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです