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 今回は,CRM(カスタマ・リレーションシップ・マネジメント)とCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)のアプリケーションを取り上げる。

 中堅・中小企業における利用率は,CRMが10.9%,CTIが4.0%である。CRMは『計画→調達→生産→販売→物流→保守/品質向上』といった一連の業務サイクルで,顧客の声を汲み取って製品の品質向上や効率的な営業活動を実現するために重要な役割を担っている。その「CRM」のキー・ソリューションとして電話応答業務を支援するCTIが存在する。

 ほぼ成熟段階に入った現在の日本の製品市場において,顧客のモノを見る目はますますシビアになり,賢い顧客が増えてきている。こうした環境の中,大企業はもちろん中堅・中小企業においても「いかに既存顧客を守りつつ,かつアップセル(上位製品の提案)・クロスセル(関連製品の提案)させ,同時に新規顧客を開拓するか」というミッションのもと,顧客資産を最大限に活用した企業戦略のツールとしてCRMを選択するのは自然な流れでもあるはずだ。

 にもかかわらず,中堅・中小企業におけるCRM,CTIの利用率は一向に上昇しない。そのニーズが顕在化しない根本的な理由は,過去からの経緯から判断して「高い」「使えない(使いこなせない)」「効果が見えない」ことである。

 以下で最新のデータを追っていきたい。

既存顧客の満足度向上のためのニーズは否定できない

 早速,CRMとCTIのパッケージ製品のシェアを見ていきたいが,そもそも導入率が低いために,回答数も100件未満と少ない。そのため参考値として紹介しつつ,CRMやCTIの機能を確認していきたい。

 CRMのアプリケーションを導入しているユーザーのうち「パッケージ」利用が57.1%,「自社製オーダーシステム」利用が42.9%となっており,パッケージ利用率のほうが若干高い(図1)。パッケージ製品のシェアは,トップが「Siebel 7」の14.3%,2位が「SMILEα顧客管理」の12.5%,3位が「PeopleSoft 8 CRM」の10.7%である。

図1●CRMパッケージの製品別シェア(Nは有効回答数)
図1●CRMパッケージの製品別シェア(Nは有効回答数)

図2●CRMパッケージの導入予定シェア(Nは有効回答数)
図2●CRMパッケージの導入予定シェア(Nは有効回答数)

 CRMを厳密に定義すれば,「顧客満足度 (CS :カスタマ・サティスファクション)向上に軸足を置いて,営業,販売,マーケティングなどの企業経営全面にわたるIT情報を有機的・リアルタイムに連携,活用する戦略的情報システムのコンセプト」ということになるだろう。いわゆる「フロントオフィス」と呼ばれる,顧客に直接接する営業マンやサービスなどを支援するシステムと同義である。現状では,営業マンへの支援ツール,顧客対応のヘルプデスクや客先でのモバイル・コンピューティング・ツールなどが,顧客データベースに基づいて独自に構築されることが多い。

 最近では,このフロントオフィスのCRMシステムを「バックオフィス」,つまり財務・会計,販売管理,在庫管理などの基幹業務とリンクさせて,企業戦略のためにデータ分析・解析する機能も提供されつつある。

 このCRMと密接につながるソリューションが,電話とコンピュータを連動させた顧客へのアプローチを支援するCTIということになる。

 CTIのアプリケーションを導入しているユーザーのうち,「パッケージ」を利用している比率は66.7%,「自社製オーダーシステム」を利用している比率は33.3%となっている(図3)。パッケージ製品のシェアは,トップが「SMILEαCTI」の20.8%,2位が「View工房/CS」の16.7%,3位が「Siebel Call Center」の12.5%となっている。

図3●CTIパッケージの製品別シェア(Nは有効回答数)
図3●CTIパッケージの製品別シェア(Nは有効回答数)

図4●CTIパッケージの導入予定シェア(Nは有効回答数)
図4●CTIパッケージの導入予定シェア(Nは有効回答数)

 これからの営業活動では,新規見込み客へのダイレクトな営業活動のほかに,既存顧客のリピート・オーダーを促すための「プッシュ型営業活動」が欠かせない。既存顧客のCSを向上させる営業・サポート活動の重要性を考えると,CRMやCTIといったアプリケーションの潜在ニーズを否定することは出来ない。だが,中堅・中小企業の多くが「企業戦略の特効薬的な効果」を期待している現状では,CRMやCTIのアプリケーションが単独で普及することは難しいだろう。むしろ「必要な要素」として,バックオフィスの基幹システムと融合していく可能性が強いだろう。

 次回は,CRM,CTIに続いて,新しいITアプリケーションであるDWH(データ・ウエアハウス),ナレッジマネジメントを取り上げる。

 なお回答企業プロフィールなどの調査概要については,こちらをご覧ください。

■伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

【略歴】
ノークリサーチ代表。大手市場調査会社を経て98年に独立し,ノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査,コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析を得意としている。