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 社会生態学者、ピーター・ドラッカー氏が2005年11月11日に亡くなってから早くも1年が経った。この1年の社会の動きは目まぐるしかったが、変化が激しい時こそ、本質をつくドラッカー氏の言葉に耳を傾けるべきではないだろうか。こう考え、ドラッカー氏とのロングインタビューの記録をひもといてみた。

 幸いにも、私はこれまで3度、ドラッカー氏にロングインタビューする機会に恵まれた。最初のインタビューは1997年のことだったが、当時のメモを見直してみると、現在に通じる示唆的な発言が満載されていた。1999年の2度目、2003年の3度目のインタビュー内容もまったく古びていなかった。

 ドラッカー氏の魅力はたくさんあるが、何と言っても、物事をとらえるスケールにはインタビューのたびに圧倒された。現在起きている事象を読み解く際に、こちらが予想もしていなかった歴史上の逸話を持ち出し、それらを対比して、目からうろこが落ちるような指摘をしてくれたものである。だからこそ、昔のインタビューを読み直しても、新鮮なままなのだ。

 そこで今回は、日経ビジネスオンラインとITproが共同で運営している当サイトに、インタビュー内容をほぼそのまま公開する。ここから何を読みとるか、それは読者の皆様にお任せするという趣向である。

 以下に公開するのは、私にとって3度目、そして残念ながらラストインタビューになってしまった会見記録の全文である。なぜこのインタビューを選んだかというと、このインタビューのテーマが「情報革命」であり、経営とITを考える当サイトに相応しいと思ったからだ。

 お読みいただくとお分かりのように、情報革命がテーマと事前に伝えていたにもかかわらず、インタビューの冒頭、ドラッカー氏は「情報は重要ではない」と切り出された。のっけから、こう言われ、大いに焦ったことを懐かしく思い出す。ドラッカー氏は本インタビューの中で、「ITは重要でない」「CIO(最高情報責任者)は新しい仕事をしていない」などと述べている。これは同氏一流の表現なのだが、ぜひその真意を読みとっていただきたい。

 本インタビューは2003年1月31日に、米国カリフォルニア州クレアモントにあるドラッカー氏の自宅で行った。質問をしているのは私のほか、日経ビジネスの酒井耕一ニューヨーク支局長(現・日経ビジネス副編集長)である。読みやすくするために、順序を入れ替え、質問文を削除するなど多少の編集作業を施したが、ほぼ当時のインタビューを再現した。

(酒井 綱一郎=日経ビジネス発行人)