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 正解はA,C,Fです。

 最近のシスコ技術者認定試験ではコマンドの読み取りが重要になりますので,必要な情報を短時間で読み取れるよう訓練しましょう。今回はCCNA・BSCI科目からOSPF(Open Shortest Path First)の出題です。

 出力結果をそのまま図に表すと,図1のようになります。

図1●問題のネットワーク:表示結果から直接読み取れる内容

 OSPFはリンクステート形のルーティングプロトコルで,下記のプロセスで動作します。

[OSPFの動作プロセス]

(1) 隣接ルータとネイバー関係を形成(2WAYまたはFULL)
(2) FULL状態のネイバーとだけ,LSA(Link State Advertisement)でリンクステート情報を交換しデータベース(LSDB=Link State DataBase)を同期→受信したLSAはLSDBに格納され,ルータはエリア内の全トポロジを把握
(3) それぞれのルータがLSDBを元にSPF(Shortest Path First)計算を行い,最短経路をルーティングテーブルに登録

 今回は(1)について見ていきますが,OSPFのネイバー関係には2WAYとFULLの2種類の状態があることに注意が必要です。

[OSPFのネイバー状態]

2WAY状態のネイバー:定期的に送信されるHELLOメッセージにより存在を把握しているだけのネイバー
FULL状態のネイバー:実際にLSAを交換し,LSDBを同期(確認応答が必要)するネイバー

 これについては,DR(代表ルータ)選出が必要なネットワークタイプかどうかで異なります。

 DRが必要なネットワークタイプは下記の2つです。

[DRが必要なネットワークタイプ]

Broadcast(イーサネットなどのLANセグメントのデフォルト):DR/BDR(バックアップ代表ルータ)は自動選出
NBMA(フレームリレーやATMなどのマルチポイント接続のデフォルト):ネイバーの手動設定が必要

 上記のネットワークタイプでは,1つのネットワークセグメントに多数のOSPFルータを接続することができます。

 例えば,1つのLANセグメントに10台のOSPFルータが存在する場合,同じLANセグメント内で必要な隣接関係の数は「9+8+7+6+5+4+3+2+1=45」と多くなり,個別にLSAを交換すると,ルータやネットワークに大きな負荷がかかってしまいます。

 そこで,LANセグメントでは,セグメントに1台,DRを自動的に選出し,他のルータはDR経由でのみLSAの交換を行います。また,DRの障害に備え,BDR(バックアップ代表ルータ)も自動的に選出されます。

 DRにもBDRにも選ばれなかったルータは,「DROTHER」となります。DROTHERのルータは,DRとBDRのみとFULL状態のネイバーを形成し,DROTHER同士の隣接関係は2WAY状態のネイバーにとどめます。これにより,必要最低限のLSA交換にとどめることができます。

 問題の出力結果より,100.1.1.1と100.1.1.4はともにDROTHERなので,隣接関係は2WAY状態です。2WAY状態ではLSAを交換しないので,Cは正解です。

 また,今回のFastEthernet0/0セグメントにおいて,すべてのStateがFULLになっており,100.1.1.3ルータがDRであることが分かります。RouterAは,DROTHERともFULL関係のネイバーを形成していることから,BDRであることが分かります。よってAは正解です

 では,どのようにDR/BDRを決定するのかということですが,DR/BDR選択は下記の順番で選出されます。

[DR選定基準]

(1) インターフェイスごとに設定できるOSPFプライオリティ値(0~255)がセグメント内で最も大きいルータ(ただし,プライオリティ0が設定されるとDRにもBDRにもならない→DROTHERになる)
(2) セグメント内でルータIDが最も大きいルータ

 問題のネイバー出力ではプライオリティが最大(Pri=1)のネイバーのうち,ルータIDが最大の100.1.1.3がDRになっていることが分かります。100.1.1.4はプライオリティ0が設定されているため,DRにもBDRにもなりません。よってBは誤りです。

 なお,DRの決定は最初に一度だけ行われ,一度DRになると,それよりプライオリティの高いルータが存在しても,ダウンするまで交代しません。

 一方,Serial0/0インターフェイスではStateが「FULL/ - 」となっています。この「-」はDR選出が必要のないネットワークタイプであることを意味します。DR選出が必要のないネットワークでは,常にFULLの隣接関係が形成されます。よってDは誤りです。

 ここまでの内容を図に書き加えると,図2のようになります。

図2●問題のネットワーク:表示結果から推測される全体図

 ここからはBSCIレベルの内容です。

 OSPFルータ間の情報交換には,下記の2つのIPマルチキャストアドレスが使用されます。

[OSPFパケット送信に使用するIPマルチキャストアドレス]

224.0.0.5・・・宛先は同一セグメントのすべてのOSPFルータ
224.0.0.6・・・宛先は同一セグメントのDRルータ

 224.0.0.6は,DRが選出されるネットワークセグメントのみで使用され,DROTHERはリンクステートに変更があると,このアドレスに新しいLSAを送信します。DRは受信したLSAを224.0.0.5でネットワークセグメント内の全OSPFルータに一括して通知します。

 DRが使用されないネットワークでは224.0.0.5のみを使用するので,Eは誤りです。

 また,OSPFではネイバーを形成する場合,次のパラメータが一致している必要があります。

[ネイバーになるために一致する必要のある情報]

HelloおよびDeadタイマ
エリア番号
スタブエリアフラグの有無
認証パスワード(設定している場合)

 既にネイバーが構成されている状態で,上記の設定変更を行うと,隣接関係が失われます。DRで設定変更を行うと,DRの隣接関係がすべてダウンするため,BDRがDRに繰り上がります。よって,Fは正解です。