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●文書の書き手だけでなく読み手の利便性も高めたい
●一太郎と同じクライアントソフトへのこだわり
●世界市場に打って出るための中核製品に育てる

 ジャストシステムと聞けば「一太郎」が思い浮かぶほど、一太郎の名と同社は切っても切れない関係にある。だが、その一太郎はもはや中核製品ではない。3月23日に発表した新製品「xfy Enterprise Edition 1.5」に、自社の将来を託しているからだ。

 xfy(エクスファイ)は、社内に分散する複数の情報を、一つのXML(拡張マークアップ言語)文書で表現するためのソフトウエア()。開発責任者の浮川初子代表取締役専務は、「1996年に発表した構想の“ダイナミック・ドキュメント・ワーク”が発端」と語る。今から10年ほど前のことだ。

図●ジャストシステムの「xfy Enterprise Edition 1.5」を使えば、社内に分散する情報を有効活用するためのソリューションを提案できる
図●ジャストシステムの「xfy Enterprise Edition 1.5」を使えば、社内に分散する情報を有効活用するためのソリューションを提案できる

 当時、浮川専務は一太郎を次のステージに引き上げるべく、開発の方向性を探っていた。既に一太郎は文書を見栄えよく整え、印刷するという文書の書き手を満足させる十分な機能を備えていた。そこで目を向けたのが、文書を読んだり受け取ったりする人々の利便性。「読み手や受け手が文書を読みやすく再利用できる形に変えていこう」。そんな浮川専務の思いが「ダイナミック・ドキュメント・ワーク」に込められた。

 ところが、皮肉にも手塩にかけて育ててきた一太郎が、構想の実現を阻んでしまった。原因は、一太郎がジャストシステムの独自仕様だったこと。一太郎と互換性のあるソフトウエア間でしか文書を共有できなかった。

 「一太郎の枠を超えた、もっと汎用性の高いプラットフォームが必要だ」。そこで浮川専務は当時、文書交換フォーマットの国際標準仕様として固まりつつあったXMLに着目。99年、XMLに対応した文書作成ソフト「一太郎Ark」(アーク)を発表した。

 本来なら、浮川専務の喜びもひとしおだったはず。しかし、「最初に一太郎Arkを見た時、正直がっかりした」。単なる文書作成ソフトの域を出ていなかったからだ。しかもXML対応とは言え、実態は一太郎Arkで作成したXML文書にしか対応しない。浮川専務が思い描いていた文書の共有や活用の実現には、遠く及ばななかった。

 しかし浮川専務の強いこだわりは、一太郎Arkという形になって初めて開発エンジニアたちに共有された。「もっともっと汎用性を高めよう」。現場の気持ちが同じ方向を向いたところで、浮川専務はゼロから作り直す決意を固めた。

 それからはじっくりと開発を進め、5年が経った2004年11月、プレビュー版の公開にこぎつけた。単なるXML文書の作成/編集だけではなく、複数のXML文書から必要な情報だけを取り出し、それらを画面上で並び替えたり、加工したりすることが可能になった。その1年後となる2005年10月、製品版「xfy Basic Edition 1.0」の販売を開始した。

路線転換のきっかけは米IBM

浮川初子●代表取締役専務
浮川初子●代表取締役専務

 xfyの開発過程で浮川専務がこだわったことは、もう一つある。それは、クライアントソフトとして動作することだ。他社製品のほとんどは、サーバー間でデータ交換するためにXMLを活用していた。このため、XML文書の処理機能はサーバー側で実装。クライアントには処理結果だけを送信し、Webブラウザなどで表示する仕組みになっていた。

 一方、xfyは処理機能のすべてをクライアント側に実装する。xfyサーバーは、XML文書を社内で交換するための共通基盤としての役割を担っているに過ぎない。クライアントで作成した文書の保管、テンプレートの管理、ユーザーごとのアクセス権限の管理などの機能のみだ。

 この発想は、一太郎を手がけてきたジャストシステムならではといえる。一太郎はエンドユーザーのパソコンで動き、それを使うエンドユーザーの生産性を上げてきた。xfyも同じようにエンドユーザーのパソコンで動いてこそ使い勝手が高まるとの信念があった。

 こうした思いから、xfyは当初から“企業内個人”がターゲットだった。転機が訪れたのは2005年9月、ちょうどxfy Basic Edition 1.0を発売する直前のこと。米IBMの研究所から、「XMLに対応したDB2の次期バージョンとxfyを組み合わせたら、何か面白いことができるんじゃないか」という打診を受けたのだ。これに乗ったジャストシステムは「xfy Enterprise Solution 1.0」を開発。翌年6月に販売を開始した。

 ジャストシステムが法人向けソリューションとしてxfyの販売に本腰を入れ始めたのは、2006年11月にxfyエンタープライズ事業本部を新設してから。「xfyパートナープログラム」も開始。事業説明会には約100社のソリューションプロバイダが参加した。この中から、内部統制文書管理といった新しいソリューションに仕立て上げられるパートナー企業と手を組むべく交渉を進めている。

 さらに、国際標準のXMLを扱うxfyは世界市場が視野に入る。3月にはロンドンとニューヨークに営業拠点を開設。今後3年以内に全世界で500人規模の事業体制を目指すという。