「プロジェクトを仕切れるマネジャーが足りない」。「プロジェクトマネジャーの育成が急務」。製造業やIT(情報技術)関連企業の経営者の方に会い、取材の最後に「課題は何でしょう」と聞くと、こんな答えが返ってくることが多い。
 どんなに華麗な戦略を立てても、優れた製品の構想をまとめ上げても、実行に移されなければ絵に描いた餅に過ぎない。プロジェクトをきっちり進められるマネジャーが求められる所以である。ところが経営者の期待に対し、現場を担う若手たちはプロジェクトマネジャーの仕事と距離を置きたがっている、という調査結果がある。


「マネジャーになりたいか」に「はい」は9.1%

 この調査は、情報システムの総合誌である「日経コンピュータ」が特集記事「プロマネ残酷物語」の中で掲載したものだ。「プロマネ」とはプロジェクトマネジャーのこと。プロジェクトマネジメント以外の仕事をしているアンケート回答者593人に「あなたはプロマネになりたいですか」と聞いたところ、「はい」は9.1%にとどまり、「いいえ」が73%、「どちらともいえない」が17.9%という結果になった。このアンケートは、IT総合サイトのIT Proで実施されたので、回答者はIT産業あるいはITを扱う情報システム部門に所属するエンジニアたちである。
 IT産業において、企業の業績を左右するのは、その企業のプロジェクトマネジメント力である。システム開発の仕事を請け負った時、その仕事を納期通りに、所定のコスト内で完了させる力がなければ、赤字を作ってしまう。業績に直結する、要となる仕事がプロジェクトマネジメントであるわけだが、その職務を希望するエンジニアが回答者の1割に満たないというのは、由々しき結果である。「なりたくない」と答えた人に理由を聞いたところ、「責任の重さに対して報酬が少ない」「現場のプロマネをサポートする体制/制度が十分でない」が主な理由として挙がった。
 一方、既にプロジェクトマネジャーの仕事をしている635人が別途アンケートに答えており、こちらは「仕事にやりがいを感じていますか」という質問に、55.9%が「はい」と回答した。現役の士気が落ちていないのは救いと言える。それでも「業務遂行上十分な権限を与えられている」という質問には50.3%が「いいえ」と回答した(「はい」は14.2%)。また、「会社は十分なサポートをしてくれる」には52.9%が「いいえ」と答え、「はい」は8.4%であった。「業務内容に見合った報酬を得ている」に至っては、73.3%が「いいえ」と回答し、「はい」は7.0%にとどまった。