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若林是孝
ミロク情報サービス 顧問 社長補佐


 本連載の主旨は、企業経営者および各種の調達を担当される方々に向けて、「調達コスト低減プロジェクト」の実践手法を実例を中心にして解りやすく説明するものです。わたしは2004年に、ミロク情報サービスというIT企業において、「全社調達コストの削減プロジェクト」のリーダーを務め、紆余曲折の末、年間3.8億円のコスト低減を達成することに成功しました。その時、実践した成果を手法として集大成し、全貌を公開していきますから、プロジェクト推進のためだけでなく、日常の調達活動の実務書としても活用していただけると思います。


 一般に企業の収益改善の主たる活動といえば、営業活動の活性化や製造部門の生産性向上、それにIT化推進、資金調達方法改善などにスポットが当たりがちです。しかしながら、調達コストの低減活動は一見地味ではありますが、資金流出の極小化や、利益に大きく貢献できる必須の活動です。ここで調達とは、総務部門が受け持っている一般購買や業務委託、それに購買部門が担当する仕入れ販売用商品の調達、を含みます。

 最初に2点お断りしておきます。これから詳しく紹介する調達コストの低減活動は、製造業の材料調達や小売業のマーチャンダイジングなど大量仕入れや商品企画がテーマとなるものではありません。もう1点、専門の組織があってしっかりと調達活動をされている超大手企業向けのものではなく、従業員2000人未満の中堅・中小企業向けの参考書を目指します。

 まず自己紹介ということで、わたしの経歴について簡単に触れます。大手コンピュータメーカーでコンピュータ関連システムやソフトウエアの販売を中心に20数年間、営業の最前線で過ごしました。その後、ミロク情報サービスへ転職し、コールセンターの運営やサービス事業推進部門の統括を手がけ、ユーザー企業の立場で様々な商品の購入や各種の業務委託管理を経験しました。

突然の指名で、調達責任者に

 いわば営業のたたき上げなのに、社長の突然の指名で、販売商品・サービスの仕入れ部門である購買部を担当することになりました。そのうえ、戦略購買の名のもとに、全社の外部支払い費用(調達コストと呼びます)の低減活動を推進する役回りが仕事の一部になりました。営業から調達へ、「目をパチクリ」とはこのことを言うのかと気が動顛する思いでした。
 
 調達というまったく新しい仕事にどう取り組んでよいのか随分と悩みましたが、まずは、「営業の机の反対側に座るだけのことだから」と気持ちを割り切ることからスタートしました。そして、調達コスト削減プロジェクトを遂行しているうちに、少しずつ気持ちが変わり積極的に取り組むことができるようになりました。