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 Web2.0をテーマにしたイベント「Web 2.0 Expo」が先頃開催され、多くのキーパーソンが登壇し、講演した。興味深かったのは、Web2.0についての統計データが相次いで発表された点だ。

 インターネット調査会社の米Hitwiseは、「ユーザー作成コンテンツ(UGC、User Generated Contents)」の多くは35歳以上の男性が投稿している、というデータを公表した(詳細はこちらの記事)。UGCとはWeb2.0の目玉で、オンライン百科事典Wikipedia、動画投稿のYouTube、写真投稿のFlickrといったWebサイトに投稿されているようなコンテンツを指す。パソコンとインターネットの普及、かつこうした「場」の存在が、プロ以外の人々によるコンテンツの作成・配信を可能にしたわけだ。

 Hitwiseは、Wikipediaをただ閲覧している利用者と、そこにある用語を編集する利用者を、それぞれ世代別に比べたデータを示した。データによると、45歳~54歳の利用者は、28%が編集する。一方、閲覧は19%にとどまった。35歳~44歳は、編集が27%、閲覧が23%である。逆に18歳~24歳の利用者を見ると、閲覧は26%だが、編集している率は5%しかいない。つまり、Wikipediaの場合、35歳以上による編集が多いことが分かった。

 YouTubeにおいても、35歳以上の活躍が目立つ。YouTubeに最もビデオ画像を投稿している世代は35~44歳で、その割合は投稿者の中の36%だった。 YouTubeの閲覧者総数に占める割合は18~24歳が31%と高いのだが、ビデオを投稿した人に占める割合でみると、18~24歳はわずか1%になってしまう。

 男女比はどうか。圧倒的に男性優位である。Wikipediaの場合、編集の60%を、YouTubeの場合、ビデオ投稿の75%を、それぞれ男性が占めた。

 以上のデータを付き合わせると、Web2.0サイトのUGCを担っているのは「35歳以上」の男性であることが分かる。ちなみに、WikipediaもYouTubeも、サイト閲覧者数に占める男女比はほぼ同じだった。

 Web2.0は参加型のメディアと言われているものの、利用者の参加率はまだまだである。参加率とは、コンテンツを編集したり、投稿している利用者の比率である。Hitwiseの調査によると、Wikipediaが4.6%、YouTubeが0.2%、Flickrが0.2%であった。

 ただし、こうしたWeb 2.0サイトを訪問する利用者の数はこの2年間で6倍に増えている。Wikipediaと、既存の百科事典を基にした「Encarta」サイトを比較すると、年々利用者数の差が開いている。教育の場で参照される割合を見ると、Wikipediaが1位、質問サイト「Yahoo! Answers」が2位になった。教育関係者からしばしば「Wikipediaの内容をそのまま参照する学生が多く問題である」という声を聞くが、さもありなん、といったところだろう。

 Hitwiseはまた、「Web 2.0サイトでは勝敗が非常に早く決する」という調査結果も発表した。YouTubeの登場以前、ビデオ分野で人気のあるサイトは、1位が「Yahoo!」の動画サイト、2位が「Google Video」であった。しかしYouTubeの登場からわずか6週間で、GoogleもYahoo!も抜き去られた。同社は、「Web 2.0サイトにとって重要なコンテンツを投稿するような利用者は、かなり初期の段階で『どのサイトを使うか』を決めてしまう」と分析している。

ブログの“生存率”は低下

 一方、7000万件のブログを計測しているブログ検索会社の米Technoratiも、Web 2.0 Expoにおいて統計データを発表した。同社によると、現在のところ、ブログの投稿数は1日当たり平均150万件で推移している。1時間当たり、5万8000件の投稿があることになる。

 ただしブログが急増するに伴い、ブログの「生存率」は下がっている。Technoratiがトラックしているブログのうち、90日内に最低1件の投稿があったブログの割合は、2007年3月の段階で21%だった。1年前の2006年5月は36%であったからかなり減っている。

 もっとも、いくつかの有力ブログは影響力を増し、大手メディアのサイトを上回るようになってきている。Technoratiが調べた「多くリンクされているサイト」上位100サイト中、22%をブログの・サイトが占める。

Technoratiは以上のデータから、ブログを書くブロガーに対する助言をとりまとめた。

頻繁に投稿せよ──高い影響力を持つブロガーは2日に1度更新している

やり続けよ──高い影響力を持つブロガーは1~2年継続している

変化を恐れるな──上位100サイトのうち、88%は1年前とは異なるサイトになっている

ブログ投稿数世界一はなんと日本

 TechnoratiはWeb 2.0 Expoに先立ち、「言語で見たブログ投稿数の割合」を発表している。それによると、ブログの投稿に占める特定言語の割合は日本語が37%で、英語の33%を引き離して1位になっている(詳細はこちらの記事)。ただし、パスワードで保護されたブログが多い、フランス語、韓国語、中国語はトラックできていない。

 ITproの武部健一記者は、「英語を超えた日本語ブログの投稿数、その理由は? 」というコラムで、日本のブログ投稿数が1位になった理由を次のように推測している。

日記文学・私小説の伝統:日本人には日記を書くような感覚でブログを書いている人が諸外国に比べて多いのではないか。

 世界最高水準の顔文字、アスキー・アート文化:「2ちゃんねる」などの利用者が過去数年かけて生み出した顔文字とアスキー・アートは、数と質の両面で世界最高水準に達している。これを使うとブログがより楽しいものになる。

中産階級の厚い層:パソコンを買える中産階級が多く、ブロードバンドのインフラが整っている。

 「出る杭は打たれる」社会:目立つことが評価されない統制のとれた社会の中で、インターネットの匿名性の中で本音を吐き出したいという欲求が日本人の中には強いのではないか。

携帯電話からの投稿が簡単:日本は、第3世代携帯電話(3G)サービスが最も発達している。日本の携帯電話事業者は垂直統合的なビジネスモデルを採用しており、携帯電話からのインターネット利用が非常に簡単。

Enterprise Platform編集部)

注)本記事は、nikkeiBPnetに2007年4月23日、公開されたものの転載です。