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 NTTドコモ,KDDIが従量制料金を軸にした割引サービスをユーザーに提供する中,同一事業者内の通話を定額にする料金プランを掲げるのがソフトバンクモバイルとPHS事業者のウィルコムだ(図1図2)。

図1●ソフトバンクモバイルの料金プランの構成
図1●ソフトバンクモバイルの料金プランの構成
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図2●ウィルコムの料金プランの構成
図2●ウィルコムの料金プランの構成
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ソフトバンクモバイルは月額980円のホワイトプランが基本

 ソフトバンクモバイルのホワイトプランは基本料金が月980円であることに加え,契約期間や回線数による制約がない。そのため,ユーザー数が少なく大口割引の適用が難しい企業に適している。ソフトバンクモバイルの法人事業統括部ビジネスマーケティング部の白石美成部長によると,「ホワイトプランは個人と法人どちらも利用可能だが,結果的に中小企業のユーザーを増やした」と成果を話す。

 ただしソフトバンクモバイルのホワイトプランは,午後9時から午前1時の間は有料で30秒21円。また他事業者あてはいずれの時間帯も30秒21円となる。これらの通話料を下げる割引サービスが「Wホワイト」である。月額980円を追加で支払うことで,30秒21円の通話料が30秒10.5円と半額になる。この10.5円という通話料はNTTドコモの料金プランであれば「タイプL」と同等である。

他事業者あて通話時間がコスト削減の鍵

 では本当にホワイトプランは安いのか。NTTドコモの料金と比較した結果,Wホワイトを追加することで,条件次第では100回線以上の大口需要でもNTTドコモより割安になることが分かった。ということは,類似したプランを持つKDDIとも拮抗することになる。

 比較条件は,(1)音声通話とパケット通話で使用(メール,サイト閲覧),(2)主に平日の昼間に利用,(3)1日の利用時間は5分程度(ここでは月200分で計算),(4)メールは毎日利用,(5)通話先は携帯電話と固定電話半々とした。NTTドコモの回線種別はFOMA,料金プランは「タイプM」と「パケットパック10」。これに「新いちねん割引」,「ビジネス割引」,「通話料いっかつ割引」を組み合わせた。ソフトバンクモバイルは回線種別は「Softbank 3G」で,ホワイトプランとWホワイトに,「S!ベーシックパック」月315円,「パケットし放題」月1029円を加えた。

 その結果,ソフトバンクモバイル以外の通話が90%の場合は5回線まではホワイトプラン+Wホワイトが割安,ソフトバンクモバイル同士の通話が40%の場合はホワイトプラン+Wホワイトの方が150回線でもNTTドコモよりも割安となった。どの事業者の携帯電話を使っているか分からない顧客との通話が大部分を占める場合には向かないが,社員間の連絡が携帯の主な利用用途の場合には,大きな通信コストの削減が見込める。

ウィルコムは24時間定額,ソフトバンクより割安なプランも用意

 ウィルコムの「ウィルコム定額プラン」は,定額の対象範囲がソフトバンクモバイルよりも広い。ウィルコムのユーザー同士だけでなく,070番号を持つPHSも定額の対象に含まれる。さらに時間帯の制約がないのも特徴だ。夜間に社員同士が業務で使う場合などはソフトバンクモバイルよりも適している。

 ただし,たいていの企業にとっては緊急時を除き,夜間の携帯利用は必須ではない。ソフトバンクモバイルのホワイトプランがたとえ午後9時から午前1時を定額の対象から外しても企業にとっては影響ない場合が多い。こうした考えに立った料金プランをウィルコムも提供している。3月8日に同社が発表した「ウィルコムビジネスタイム定額トリプルプラン」である(関連記事)。6月1日から提供する。月額基本料金は1900円。これはソフトバンクモバイルのホワイトプランとWホワイトの組み合わせた際の月額1960円よりも割安である。月額1900円で午後9時から午前1時までの時間帯を除く070番号同士の通話が無料となる。またそれ以外の時間帯や固定・携帯電話あての通話は30秒10円となり,これもソフトバンクモバイルのWホワイトより安い。

PHSからホワイトプランへの移行事例も

 他事業者あてへの通話料金を考慮した場合は,ソフトバンクモバイルとウィルコムの料金は拮抗するが,自社同士の通話が主な場合は,ホワイトプランの月額980円という基本料金はやはり安価だ。この点に魅力を感じて,PHSからソフトバンクモバイルのホワイトプランに移行する事例も出始めた。

 「カンコー学生服」で有名は尾崎商事は3月,宮崎県都城市の工場で使う携帯電話20台にホワイトプランを採用。ウィルコムのPHSを解約し,ソフトバンクモバイルの携帯電話に入れ替えたという。同社は都城市の工場では広い敷地の中で移動しながら使える通信手段としてPHSを採用。ウィルコム定額プランに法人割引を適用して1台当たり月2200円で主に内線代わりに使っていた。だがホワイトプランをきっかけに「現場の若い人から変えてほしいという要望が出た。工場の社員間でしか使わないからホワイトプランに変えればもっと安くなると言われた」(情報管理部情報企画課の杉本広行課長)という。2200円が980円になる分かりやすさから,都城市の工場の社員限定で導入を決めた。

固定と携帯の定額制もテスト中

 さらにソフトバンクモバイルは,定額制の対象を固定電話にまで広げようとしている。ソフトバンク・グループの固定通信事業者であるソフトバンクテレコムは法人向けに「おとくライン」の名称で直収電話サービスを提供している。ソフトバンクテレコムは日本テレコム時代の2005年,通信料金の一括請求サービスなどを手がけるインボイスと共同で「日本テレコムインボイス」を設立し,中小企業向けにおとくラインを積極的に販売している。

 このおとくラインとソフトバンクモバイル間の通話料を定額にするサービスを現在,「テスト・マーケティング中」(ソフトバンクモバイル)である。まだ正式なサービス・メニューではないため,料金などの詳細は未定。企業の中には携帯電話を業務で使わない社員も大勢いるため,社員間通話が多い企業にとって固定電話と携帯電話の定額制は,通信料金削減の切り札となる。

第1回 企業規模で変わる“最適な”携帯電話事業者 
第2回 法人向け割引サービスの特徴――NTTドコモ,KDDI編 
第3回 法人向け割引サービスの特徴――ソフトバンクモバイル,ウィルコム編 
第4回 月次の支払い総額次第でさらなる大口割引のチャンス 
第5回 販売代理店のASPサービスで管理コストと料金を下げる