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 「2007年問題って、新手の都市伝説ですよね」

 今から3年ほど前、ある新聞社系週刊誌の取材を受けた時、担当記者はこう言った。都市伝説とは、都市部における噂話のことで、かなり以前に話題になったものとして、人面犬や口裂け女があった。

 今から3年前、筆者はITの2007年問題に関する文章をいくつか書き、日経ビジネスEXPRESSやITproなどWebサイト上で発表した。2007年問題とは、「情報システムのブラックボックス化とそれを解決する人材不足」を指す。厳密には2007年とほとんど関係がないにもかかわらず、2007年問題と表現したのは、経営者の方々に、情報システムを経営問題として認知してほしかったからである。

 しかし、3年前は、IT業界の中だけで取りざたされ、世の中一般の話題にはならなかった。そうした中、ある週刊誌の記者がわざわざ取材にこられたのである。その記者は、「時々、都心部で妙な噂が広がります。2007年にコンピュータがどうにかなってしまうというのもその類でしょう」と言う。

 筆者は、2007年問題について書いた意図や、情報システムのブラックボックス化について説明し、2007年というのはキャッチフレーズに過ぎず、2007年になにかが起こるわけではない、と説明した。

 発売された週刊誌の記事の見出しは、IT業界で奇妙な噂が広がっている、という意味合いのものになっていた。確かに一般誌で、ブラックボックスがどうしたとか、経営者のIT理解の問題とか、書くわけにはいかない。そもそもメディア側にも、ITの知識がないのである。取材に来た記者は、パソコン雑誌の記者をしていたこともあり、コンピュータについてそれなりに詳しかったが、「編集部のデスクで、パソコンが使える人はいません」と笑っていた。

(谷島 宣之=日経コンピュータ副編集長、日経ビジネス編集委員、
ビズテックプロジェクト担当、経営とIT新潮流編集担当)