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鹿島 常任顧問(インタビュー時は代表取締役副社長) 庄子 幹雄氏

 昔から私は「3分の1主義」をモットーに仕事をしてきた。「今すぐに取り掛かるべき業務」、「1年ぐらいかけて取り組む課題」、「5年先を見据えて着手するテーマ」の三つをバランスよく織り交ぜることで、自分の仕事の幅を広げてきた。

 この考えは、CIOとして情報化投資を決定する際にも通用する。短期的な視点と、中長期的な視点の両方から投資判断を下すのに役立つからだ。

 短期的な損得勘定で「投資する・しない」を決めてばかりいると、長期的には企業競争力が低下する。顧客満足度や社員のモチベーション(士気)の向上につながると思えば、すぐにメリットが出なくても、システム投資を決断する。CSR(企業の社会的責任)関連のシステムなんて、短期的な視点だけでは投資できない。

 もちろん投資判断の基本は、システムの導入効果を数値化したものだ。我々には、システムの導入効果を株主や社員にきちんと説明する責任がある。

 ただ矛盾するかもしれないが、数値だけを重視しているわけではない。すぐには売り上げや利益の拡大につながらないようなシステムに投資するかどうかは、理屈でなく感覚で決めるしかない。我々経営層の役目は、そのあたりの感覚を養うことではないか。

 ITで経営を強化するため、どのような投資をすべきか、日々考え続けている。最近も、ヒントを得ようと、IT導入で成功したとされる欧米のユーザー企業を研究した。

 当たり前のことだが、システムを構築しただけでうまくいくわけではないことがよくよく分かった。欧米の成功事例のほとんどは、システム導入と同時に、業務プロセスや組織体制、人材などをガラリと変えている。これは当社も参考にしたい。

 もう一つ分かったのは、企業の業績に対するITの貢献度がそれほど高くないと言うこと。欧米の成功事例でも、せいぜい2~3割ではないだろうか。

 この数字は小さすぎる。ITが経営に与えるインパクトはもっと大きくてよいはずだ。我々ユーザー企業のCIOは、ITの経営に対する貢献度を高める方策をもっと真剣に考えなければならないと確信した。

 そこで四六時中考えているが、なかなか答えが出ない。ぜひ国内のITベンダーも一緒に考えてほしい。技術力はさておき、国内ベンダーは提案力がまだまだ弱い。いまだにユーザー企業にとっての全体最適を考えず、個別業務に最適化したパッケージ・ソフトを提案してくるベンダーもいる。

 ITベンダーにはもっと「システムでユーザー企業の経営全体を良くする」との信念を持っていただきたい。(談)

写真=柳生 貴也