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コジマ 社長 小島 章利氏

 当社に入社して約20年。私はキャリアの半分をシステム部門で過ごした。3年半前に父から社長を引き継いだが、社長として経営判断を下す際には、システム部門時代の経験が大いに役立っている。

 私は「経営とは仕組みである」と考えている。経営陣が描いた戦略を、社員が特に意識しなくても実行に移せるインフラのことだ。家電量販店業界の厳しい競争を勝ち抜くには、やらなければならないことが次々と出てくる。この状況で理想だけを社員に押しつけても、会社は強くならない。

 仕組みを作る上で、情報システムは欠かせない。2003年6月に導入したCPFR(需要予測と在庫補充のための共同作業)も情報システムがあって初めて可能になった。

 デジタル家電に代表されるように、家電製品のライフサイクルはどんどん短くなっている。売れる時期の欠品は大きな痛手になる一方で、売れ筋商品は数カ月で不良在庫に変わる。とはいえ、店舗の大規模化に伴い商品数が増え続ける状況で、「欠品をするな。でも在庫は持つな」と命じるだけでは、あまりにも無責任だ。

 そこでCPFR導入に併せて、在庫管理と発注業務を自動化するシステムを作った。店舗や商品ごとに設定した在庫数を下回ると、システムが3カ月先まで自動的に需要を予測して不足分を発注するようにした。

 物流の仕組みも大きく変えた。仕入れ先が各店舗に直接納品する体制をやめ、全国5カ所の物流センターなど自前の物流網を整えた。仕入れ先の都合に左右されず、必要なタイミングで必要な商品を店舗に納品するためだ。

 絶対額は明かせないが、CPFRシステムと物流センターへの投資はかなり大きかった。同様の仕組みが米ウォルマート・ストアーズで効果を上げていたことは知っていたが、本当に自社で効果が出るか不安だった。

 しかし、1年で目に見える効果が出た。店舗での欠品率が5%未満に低下した一方で、在庫が700億円から600億円にまで減った。発注作業を自動化したことで、1店舗当たり2人、全250店舗で500人近いリソースを有効に活用するメリットも得られた。

 現在、当社は次の「仕組み」作りに着手している。会計や店舗管理、在庫管理など当社のあらゆる情報を一元的に管理する新しい基幹系システムだ。

 現在は15年前のシステムを使い続けている。「良い仕組みだったから使い続けた」のだが、オープン化の波に乗り遅れ、コスト高になってしまったことは否めない。新システムは1~2年のうちに稼働させる。手の内を明かすことになるので、まだ詳細は語れないが、当社の成長戦略を加速する仕組みを各所に盛り込む。(談)

写真=後藤 究