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 NTT(持ち株会社)とKDDI,ソフトバンクの通信大手3社の2006年度(2007年3月期)決算が出そろった(表1,2,3)。連結業績では3社ともに前年同期に比べて増収となったが,利益面では明暗が分かれた。KDDIとソフトバンクが過去最高の営業利益を達成したのとは対照的に,NTTグループは営業利益が7%の減少となり期初に掲げた「(06年度を)増収増益基調の起点としたい」とした目標には達しなかった。




NTTは端末や通信機器原価の増加が利益を圧迫

 NTTの増収は3期ぶりである。NTTドコモの第3世代移動通信サービス「FOMA」対応の携帯電話機の販売やNTTデータのシステムインテグレーション(SI)事業などが拡大したことが貢献した。しかし固定通信事業では,ここ数年課題に掲げている固定電話の音声関連収入の落ち込みをIP系の通信サービスでカバーするという目標を達成できず,増収率は前年度比0.2%程度にとどまった。

 一方,携帯電話機やSI事業の機器の販売が拡大したことが物件費の上昇につながり,営業減益となった。NTTの和田紀夫社長はFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)サービスのBフレッツの契約者600万件突破や,NTTドコモのFOMAユーザー比率が全体の3分の2を突破したことなどを挙げて,「将来の収益基盤の確保で一定の成果を残した」とした。

 2007年度については,「Bフレッツの累計契約数1000万件」と,「FOMAの比率80%」を達成し,収益面の拡大を図る。これに加えて,2006年度に利益を圧迫した携帯電話機の原価の削減策などを進めることで,営業利益は0.7%の増加を目指す。ただし売上高では音声サービスの減収幅が拡大するとし,0.6%の減収を予想する。

MNP圧勝のKDDI,善戦のソフトバンクともに増益

 KDDIの業績は移動通信サービスの好調が継続し,4期連続の増収増益となった。携帯電話サービスの契約者数では,番号ポータビリティー制度(MNP)による他社からの契約者移行数が81万6000件とほかの2社を圧倒し,年間の純増数シェア(市場占有率)でも55.8%と好調だった。これが固定通信事業の営業損失をカバーした。

 2007年度は,連結ベースで2けたの営業増益を目指す。その推進役となるau事業では,累計契約者数で念願のシェア30%を狙う。固定通信事業では直収電話サービスの「メタルプラス」の契約者数を320万件とし,単体での黒字化を達成する見通しだ。こうした勢いを背景にKDDIは,2010年度に売上高4兆円,営業利益6000億円を目指す中期経営計画「チャレンジ2010」を公表した。同社の小野寺正社長は「現状に満足せず,これまでの事業の伸び率よりさらに上を目指すために新たな目標が必要」と足元の好調に気を緩めない姿勢を強調した。

 ソフトバンクの連結業績は,ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)の移動通信事業が連結対象になったことで,大幅な増収増益となった。売上高は2倍以上,経常利益は5.6倍に増加した。移動通信事業は携帯電話機の割賦販売制度がユーザーに受け入れられたことで,MNPの導入により予想されていた大量の顧客流出を防ぎ,年間の純増契約者数はボーダフォン時代に比べて約4倍に増えた。

 固定通信事業においては「Yahoo! BB」などのブロードバンドインフラ事業の営業黒字が268億円と約30%拡大し,ソフトバンクテレコムを中心とする固定電話などの固定通信事業の営業赤字をカバーした。ソフトバンクの孫正義社長は,今後は携帯電話サービスの契約者数拡大に向けて新サービスを投入するほか,固定通信網と移動通信網の統合を進め,増収増益ペースを軌道に乗せる計画を示した。