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 前回の本欄で「IT産業が伸び悩む根本的な理由」と題し、「ハードウエアやネットワークの性能が向上しているにもかかわらず、それを活かすソフトウエアがうまく用意できず、結果として、ITビジネスそのものが伸び悩んでいる」と指摘した。

 この問題を、ITを利用する企業側から見ると、「ハードやネットワークが安くなりました、と言われ、新しいことに取り組もうとしても、すでに抱え込んでいる情報システムが足かせになってしまい進められない」という状況になる。

 例えば、インターネットを使って顧客からの注文を受け付けるとしよう。インターネット関連の情報システムは、比較的低価格かつ短期間で用意できる。しかし、この新しいシステムと、大昔からある販売管理システムとを接続しなければ、受注処理を完結できない。顧客の注文情報を、どういうデータ形式で、どのような頻度で、販売管理システムに受け渡すかを決め、販売管理システムのソフトウエアに修正を加えなければならない。

 さらに業務の進め方そのものに修正を加える必要がある。インターネットという新しい販売経路から入ってくる注文に応じて、在庫の確認や出荷指示をする。必要なら増産の手配をする。こういった業務の進め方と、既存の情報システムは表裏一体の関係にあり、業務を変更することになれば、結果として既存情報システムをさらに修正しなければならない。

 インターネット受注に限らず、サプライチェーンの見直しにしても、顧客サービスの充実にしても、すべての業務革新は、既存の情報システムの見直しに直結する。しかし、既存の情報システムは肥大化・老朽化・ブラックボックス化し、それに対処する人材が不足している。すなわち、2007年問題を解決しない限り、ITを利用する企業のもう一段の成長は望めないのである。


(谷島 宣之=日経コンピュータ副編集長、日経ビジネス編集委員、
ビズテックプロジェクト担当、経営とIT 編集責任者)