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日本では2011年にアナログ放送が終了し、すべての家庭のテレビがデジタルに切り替わる。それに合わせて、デジタルテレビの双方向性を活用したオンライン投資アドバイスが始まるはずだ。富裕層の中でも、特に投資意欲の高い40~50代には、必須の投資相談サービスとなるだろう。

 野村総合研究所著の『2010年の金融』に、金融資産1 億円以上の富裕層を対象にしたアンケート調査結果(06年)が記載されている。現代の富裕層の特徴、特に資産運用に関する特徴を明確にしておくため、その調査結果の一部を引用させていただく。

 調査結果によると年齢分布では40~70代で全体の90%を占め、インターネットの利用頻度は63 %の人が「ほぼ毎日利用」しているという。どのように資産を形成したかという質問では「自分の所得や事業による収益を貯蓄した」という人が89%と圧倒的に多い。資産の内訳では「預貯金」の保有比率が97%、資産全体に占める割合も34 %で最も高い。特徴的なのは「株式」の保有比率が85%、全体に占める割合も27%と高いことだ。日本全体で個人金融資産に占める株式の割合は7.8%(05年末)だから、富裕層では株式の比率は相当に高い。投資信託や債券も同様に高くなっている。

 資産運用に関する意見を見ると、専門家のアドバイスを参考にするが商品選択は自分で判断するという意識が強い。特に新世代富裕層と呼ばれる40~50代ほど、インターネット取引を中心に自分で運用したいという意識が強いようだ。こうした調査結果を見ると現代の富裕層は、自分で投資も経験し、ファイナンシャル・インテリジェンスの高い人が多いと言えそうだ。投資関連の情報も積極的に収集しているのではないだろうか。

専門性の低さに対する不満

 日本の金融機関は富裕層対象のビジネスとして、顧客別に担当者を付けて資産運用や相続の相談など、きめ細かいサービスを提供するプライベート・バンキングを強化している。豪華なサロン風の専用スペースで顧客の相談に応じる様子もメディアで紹介されている。しかし、前述のような特徴を持つ現代の富裕層、特に今後の主力となる新世代富裕層に対して、顧客が満足する専門性の高いサービスをどれだけ提供できるだろうか。

 アンケート調査によると担当者の専門性の低さに対する不満の声は大きい。この原因として考えられるのは、実際に自分の資産をリスク商品で運用した経験も持つ専門家がいるだろうかと言うことだ。頭で覚えた商品の特徴やリスクを説明し、マニュアルどおりに分散投資を勧めるだけのファイナンシャル・プランナー(FP)が、投資経験を持つ顧客に対して専門性の高いアドバイスをすることが可能だろうか。アナリストでもFP でも、投資経験を持たない人の解説やアドバイスは説得力が弱くなりやすい。もちろん社員の自己資産運用について制約が多いことも考慮しなければならないが、専門家の育成は重要な課題である。

サロンやネットよりもデジタルテレビ

 専門家不足を補う手段の一つとして、オンラインを活用した投資アドバイスが考えられる。現状ではインターネットによる情報配信や商品紹介程度で、とても投資アドバイスと呼べるものではないが、今後はデジタルテレビを活用したサービスが普及するだろう。単なる一方通行の放送ではなく、デジタルテレビの双方向性を活用した投資セミナーや投資相談サービスの提供である。顧客はわざわざ店舗や豪華な専用スペースに出向く必要はなく、在宅のまま簡単な操作でサービスを受けることができる。予約制でお気に入りのアドバイザーを指名して相談することも可能だ。金融機関の側にも、数少ない専門家の有効活用というメリットが期待できるだろう。

 デジタルテレビの双方向性を活用したビジネスについては、90年代から注目されている。技術的にはすでに実用化レベルにあり、デジタルテレビで株式の売買注文を出すことも可能だ。11年にはアナログ放送が終了し、すべての家庭のテレビがデジタル化されインフラ面での下地も整う。家電メーカーとの連携やコスト面の調整も必要だが、金融機関にとってこうしたサービスの提供は必須のものとなるだろう。

日本でも急増するSMA
 日本のSMA(あるいはラップ口座)は、2004年4月の投資顧問業法改正によって可能となった。日興コーディアル証券を皮切りに、2004年末までに4社が参入した。2006 年9 月末には同8 社となり2倍に増えた。投資残高を見ると、日本証券投資顧問業協会が統計の集計を開始した2006年3月末の3441 億円から、半年後の9月末には15%増の3972億円に急増した。今後の富裕層マーケットの拡大により、SMAは5兆円規模のマーケットに成長するという予測もある。

 SMAを展開するには、情報システムの活用が欠かせない。証券系システム開発会社大手は、証券基幹システムとのデータ連係、売買案件作成機能、各種ラップ報酬計算機能、運用状況分析機能、定期レポート作成機能等必要な機能をパッケージシステムとして提供。金融機関は、パッケージを利用することで、SMAを早期に立ち上げることができる。

犬丸 正寛(いぬまる まさひろ)氏
日本インタビュ新聞社 代表取締役社長
1944 年生まれ。大阪商業大学商経学部卒業後、大手証券専門新聞社に入社。取締役編集局長・取締役IR 局長を経て、99 年に日本インタビュ新聞社設立。あらゆるメディアを活用した企業と投資家を結ぶI R 支援事業「Media-IR」を展開。メディアなどに執筆するかたわら、経済・株式評論家としても活躍中