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 情報システムの世界には数々の方法論がある。システムに実装すべき業務要件を整理する方法論、ソフトウエアを開発する方法論、完成したシステムを効率よく動かす方法論。ところが、これまで見落とされてきたのは、「マイグレーション(移行)」の方法論である。昔から動いているシステムを解析し、どの部分を継続利用し、どこからどこまでを再構築するか。継続利用するための保守作業と、再構築のための新規開発とを、同時に実施するプロジェクトをどう仕切っていくか。このあたりの方法論は意外にない。どうしても新規開発に注目が集まるため、一からシステムを作る方法論ばかりが充実する傾向にあった。

 古いシステムを新しくするという触れ込みの「レガシーマイグレーション」というサービスがある。しかし実態としては、コンピューターだけを新しいものに替え、その上で動くソフトウエアは従前のものをほぼそのまま流用することが多い。これでは、二〇〇七年問題への対策とはなり得ない。

 古いソフトウエアを解析するリバースエンジニアリングという手法は昔から存在する。しかしこれだけでは二〇〇七年問題を解くことは難しい。求められているのは、新しい方法論と手法である。それは、古いソフトウエアに反映されている業務のやり方を抽出し、それをどのように変えるべきかを議論し、新しい業務のあり方(ビジネスプロセス)をまとめ上げる方法論である。


(谷島 宣之=日経コンピュータ副編集長、日経ビジネス編集委員、
ビズテックプロジェクト担当、経営とIT新潮流2006編集担当)