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 2007年問題の提唱者・命名者であるCSKの有賀貞一取締役に、改めて2007年問題について寄稿していただいた。今回は問題提起にとどまらず、解決策の提案である。

 私との雑談をきっかけに、本サイトの編集長である谷島氏が『ベテラン引退がもたらす情報システムの「西暦2007年問題」』というコラムを日経ビジネスEXPRESSに公開したのは2003年の春先であった。その経緯は本欄に掲載されている。

 これが2007年問題という言葉が初めて使われた時であった。米国では、「ベビーブーマーのリタイアによるソフトウェア・クライシス」という話題があった。日本の場合は、団塊世代でもっとも多い1947年生まれがリタイアし始める2007年を、問題を象徴する年とにしてはどうかと思い、このように命名したものだ。

 谷島氏のコラムが出てからしばらくは目立った反応は無かったと記憶している。ところが、2003年後半からインターネット上で多くの意見が出されるようになった。典型的な意見を挙げてみよう。

  • リタイア直前の爺さんがシステムの面倒など見ているケースはほとんど無い
  • システムが止まるわけではない
  • ソフト会社の経営者が自分の会社の仕事を増やしたいから言っているだけだ
  • 最新のオープン技術で作り直せばよい
  • ベテランがドキュメント等を残さなかった罪のほうが重い
  •  中には前向きの発言もあったが、否定的発言もかなり多く、インターネットが持つ匿名性の無責任さを十分味わうこととなった。

     状況が変わったのは2005年になってからだろう。IT業界ではなく、一般製造業のほうがベテランがリタイアする危機を強く感じ、熟練技術者のノウハウを伝承するための仕組み作りや、若手に対する「もの作りセンター」の設置といった対策を講じ始めた。その結果、IT業界も改めて、状況を認識するところとなった。それまでインターネット上に、2007年問題に対して悪評を書いていた人物が、にわかに賛成派に回るなどという、ふざけた現象も見られた。

     製造業では、もの作りセンターのような、目に見える形での取り組みが始まっているが、当のIT業界はどうか。ブラックボックス化したレガシーシステムに対する取り組みについては正直言って遅れている。ユーザー側の意識も遅れている。それを説得できないIT業界もだらしが無い。

     人口減少や低成長という新しい時代に対応するには、古いシステムを再構築するのが一番である。しかし、システムがこれほど組織に定着した状況で、システム再構築の効果をROIの側面だけで議論するのは難しい。これがなかなか再構築に踏み切れない理由の一つである。