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 情報システムが肥大化・老朽化・ブラックボックス化しているにもかかわらず、それに対処できる人材や組織力が不足している。この「西暦2007年問題」に関し、ITproというWebサイトの読者から送られてきたご意見を紹介するとともに、筆者なりの応答文を付記する。


SEは現場に出よ
 私はいわゆるユーザー企業に所属する30代のシステム・エンジニアで、現場部門の事務員といっしょに仕事をしています。当然、日常事務もしなければなりません。そこで、強く感じることがあります。SEと言われる人たちが、いかに奥行きのない表面的で使いにくいシステムを作っているかということです。現場にいると、よく分かります。はっきり言って、これでは事務員が使うことができません。やむを得ず、その隙間を埋めるシステムを私が作ることになります。大幅な作り直しも結構あります。
 ところが、「これでは使えない」と問題を指摘すると、SEたちはとてもいやな顔をします。客に満足なシステムを提供できないで、よくエンジニアと名乗れるものだ、と感じています。エンジニアは、もっと顧客の現場に来るべきです。

 読者が指摘するように、現場の業務と合わせて情報システムを使ってみてはじめて、色々なことが分かってくる。もっともSE側には、「要件をまとめて欲しいと再三申し入れたが、上がってこないので、こちらで考えて作った」「言われた通りに作っただけ」「現場が検収したのだから後は現場の責任」といった言い分がある。こうなると水掛け論だが、読者が指摘するように、プロフェッショナルであるSE側が現場にもう少し歩みより、働きかけることが必要だろう。ちなみに米国のITリサーチ会社、ガートナーは、情報システム担当役員に対し、「部下のシステム担当者を店頭や工場など企業の現場に送り込み、一定期間現場で仕事をさせること」を推奨している。


思い切って再構築
 今動いているシステムのソフトに手を加えるのは、それが明白なバグに見えたとしても、やらない方がよい。中身が分からないシステムをいじるのは危険だからだ。やるべきなのは、同じ仕様でソフトは全然別の新しいシステムへリプレースすることである。十二分なテスト期間と、元のシステムにすぐ戻せる体制をとっておけば、多少のトラブルはあっても、リプレースは可能だ。
 要は、「ドキュメントのないバグ無しソフト(枯れたソフト)」と、「ドキュメント豊富なバグ有りソフト(新しいソフト)」のどちらがよいかである。短期的には前者がよいが、問題の先送りになる。根本解決は後者ということだ。 誰だって昔作ったソフトの行間など覚えてはいない。

 本当に明白なソフトウエアのバグ(瑕疵)であるなら、さすがに放置できないと思うが、問題は、「何か変」と感じても、ソフトウエアの中身や全体との整合性がよく分からず、「直すに直せない」ということである。本欄で多くの読者が指摘してきたように、新システムへ切り替えることができれば、それにこしたことがない。ただし、「ドキュメントのないバグ有りソフト(新しいソフト)」になってはまずいので、再構築にあたっては、文書化を強く意識してプロジェクトを切り盛りする必要がある。


投資して作り直すしかない
 システム・インテグレータの研究・開発部門にいる30代です。解決しなければならないほど重要な価値を持つシステムであれば、解決は簡単である。相当の対価を払って誰かにやってもらうのである。特にいったん引退したSEがお薦めである。
 2007年問題は、「あなた方がメンテナンスできないシステムを私どもが致しましょう」というビジネスを展開するための、「あおり言葉」のように思える。利用企業側にとっては確かに「問題」だが、システム・インテグレータからすれば「ビジネスチャンス」である。

 2007年問題を提唱したのがCSKの有賀取締役だったこともあって、情報システムを利用するユーザー企業の方から、「2007年問題は、IT企業のセールストークである」という批判を時折受ける。しかし、問題は、IT企業にすら人がいないことである。IT企業のベテランは引退するか、IT企業の管理職になっており現場にいない。現場にいる中堅や若手は、一部の金融機関や官公庁の大型プロジェクトに動員されている。ユーザー企業は自力では対処できず、といって外部のシステム・インテグレータにも頼めないという状況にある。


(応答文:谷島 宣之=「経営とIT」サイト編集長)