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 米Microsoftは4月末に,Windows Server 2008(開発コード名:Longhorn)の「ベータ3」をリリースした。このベータ3は,この次期Windows Server OSにおいて初めて一般に公開されたベータ版である。Windows Server 2008のリリースは2007年下期の予定で,多くの読者にとって,実際に手にとって試してみるのはこれが初めてのことになるだろう。良くも悪くも,その内容には驚かされる。

 Windows Vista同様,Windows Server 2008は完全にコンポーネント化され,小さい粒度のOSとなっているので,機能ごとに部分的にインストール可能で,実際に必要なコードだけをサーバー上で実行できる。コンポーネント化の最大の成果が「サーバー・コア」と呼ばれるインストール形態である。

 サーバー・コアは,コマンド・ライン・オンリーのWindows Serverであり,GUIの機能を使わず,最小・最軽量で最も安全なサーバー構成が可能になる。もちろん,それと引き換えに制限も存在する。製品版のサーバー・コアでは,18あるサーバー・ロール(役割)のうち,7つのロールしか選択できなくなるほか,通常状態のサーバーよりも制限された機能しか使えないようになる。また,サーバー・コアを使うのであれば,なじみのあるGUIが使えなくなるので,今まで使ったことがないか,長年使わなかったコマンド・ラインの「筋肉」を駆使する必要がある。ただし,デスクトップ・パソコンや他のサーバーで管理GUIを実行することで,サーバー・コアをリモート管理するという方法もある。

コマンド・ライン版もあるサーバー・マネージャ

 管理に関して言うと,Windows Server 2008には「サーバー・マネージャ」という新しい管理ツールが搭載されている。これは,最も必要とされる管理コンソールを一元化し,使いやすいHTMLのようなホームページにまとめ,実行しているサーバー機能を一覧表示したり,変更したりできるものである。また,コマンド・ラインのエキスパートのために,サーバー・マネージャには「servermanagercmd.exe」というコマンド・ライン版も用意されている。これは,GUIの管理コンソールが備える機能のすべてを,スクリプト環境でも利用できるようにするものだ(関連するサーバー・コアのコマンドである「oclist.exe」を使うと,すべてのインストール・ロールと機能にアクセスできる。ただし,サーバー・コア専用バージョンのdcpromo.exeで設定したActive Directoryは例外だ)。

 ターミナル・サービスも刷新され,様々な新しい機能が搭載される。例えば,ターミナル・セッションにおける32ビット・カラーへの対応,ホストOSとターミナル・セッション間のコピー&ペースト,高解像ワイド・ディスプレイへの対応,印刷機能の強化--などが機能強化点である。また新機能も追加された。「ターミナル・サービス・ゲートウエイ」は,VPNを使用しなくても,HTTPSトンネリングを使ってファイアウオールの外部にターミナル・セッションを送信する機能である。

 また「RemoteApp」機能は,米Citrixのターミナル・サーバーが既に備える機能の中でも最も待ち望まれていた機能であり,デスクトップ画面の全体だけではなく,個別のアプリケーションの画面だけをユーザーに送信する機能である。RemoteApp機能を使うと,サーバー上で稼働するアプリケーションを,ローカルにインストールされたアプリケーションのように利用できる。

リモート・オフィス対応も強化

 Windows Server 2008をリモート・オフィスで使用すると,大きな力を発揮するだろう。「リードオンリー・ドメイン・コントローラ(RODC)」という新しいインストール・タイプが用意されており,このような設定で構成したActive Directoryデータベースは「読み取り専用」となり,複製は一方向でしかできなくなる。つまり,遠方にあるオフィスでRODCのサーバーが盗まれたとしても,RODCに保存されているユーザー名とパスワードは,リモート・オフィスからログオンしたユーザーのものに限られるので,泥棒が全ユーザーのユーザー名やパスワードにアクセスできるわけではない。また,ドメインからRODCを削除してセキュリティが低下したユーザーのパスワードをリセットするのも,ダイヤログを1つ操作するだけで済む。

 RODCを,ディスク暗号化技術である「BitLocker」や,サーバー・コア,暗号化ファイル・システム(EFS)といった技術と組み合わせると,リモート・オフィスにおける今までにないセキュリティ・ソリューションが実現できる。物理的なセキュリティと,電子的なセキュリティの素晴らしい組み合わせが,常駐のシステム担当者を必要とせずに,簡単なメンテナンスだけで実現できるからだ。

 Windows Server 2008には他にも様々な機能が存在する。例えば,IIS 7.0,ネットワーク検疫ソリューション,バックアップ機能,高可用性機能--などである。またベータ3は,従来のベータ版よりかなり改善されており,PowerShellコマンド・ライン環境が初期搭載されているほか(ただしサーバー・コアには搭載されていない),デフォルトでは有効だがすべての通信をブロックするわけではないWindowsファイアウオールや,Webサーバーと分離できる新しいアプリケーション・サーバー・ロール,ロール・ベースのインストールや設定機能--なども搭載されている。

 Windows Server 2008(日本語版)は,マイクロソフトのWebサイトからダウンロードが可能である。